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【特集】和島英樹のマーケット・フォーキャスト【新春スペシャル】 <新春特別企画>

株式ジャーナリスト 和島英樹

「業績相場への移行が順調に進むかが焦点 」

●年前半に3万円トライか、バリュー株の動向が鍵に

 2021年の東京株式市場は、日経平均株価が年前半に3万円の大台を伺う場面がありそうだ。世界的な金融緩和が継続することが前提で、22年3月期業績のV字回復や、主要国が新型コロナウイルス問題をこなし経済活動を再開することなどが原動力になる。リスクシナリオとしては、景気の改善に伴う米国を軸とした金利上昇が挙げられる。投資資金が株式から流出する可能性には注意を払いたい。「金融相場」から「業績相場」への移行が順調に進むかが焦点となる。

 大手調査機関では日経平均採用企業の企業業績について、21年3月期は前期比19%の経常減益を予想するが、22年3月期は今期予想比41%増になると試算している。為替前提は1ドル=105円。日経平均の来期1株利益は1660円と予想している。これを基準とすれば、PER15倍で2万4900円、16倍で2万6560円、17倍で2万8220円、18倍に評価すれば2万9880円となる計算だ。業績の鋭角的な回復時にはPERにプレミアムが付くことが多く、あながち3万円は不自然とはいえない。ただ、アベノミクスでは12~16倍程度での推移であり、割高感は否めないともいえる。高値にチャレンジするのであれば、22年3月期業績への期待が高まる4~5月前後か。

 もっとも、重要なのは全銘柄の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)の動向だ。日経平均は1991年以来の高値水準だが、TOPIXは2018年1月の1911ポイントすら抜けていないのである。時価総額が大きく流動性の高い銘柄が上昇していない。銀行、通信、自動車などのいわゆる「バリュー株」が上昇できるか。全般相場の「体温」を測る上では重要とみる。

●デジタル化や環境関連が主軸のテーマに

 需給面では外国人投資家の動向が焦点。今年11月の株価急騰局面では月間では現物と先物合計で約3兆1000億円の買い越しとなり、上昇をけん引した。年初から10月末までは約9兆円の売り越しだった。

 来年の干支は「丑(うし)年」。相場格言では「丑つまずく」だが、実際、十二支中で、パフォーマンスは最低だ。丑年は東証の再開した1949年以降で過去6回ある。市場関係者によれば、勝率こそ3勝3敗と5分だが、平均の騰落率はマイナス6.3%。「午(うま)尻下がり」の午年(マイナス5.0%)を抑えて堂々の最下位なのである。1973年はオイルショック、1997年はアジア通貨危機…。丑年は景気の山になりやすいともされる。特に年後半に下げが厳しくなる傾向がある点は心に留めておきたい。下値は年後半に2万5000円程度は想定したい。

 物色動向としては5G(第5世代移動通信システム) 半導体DX(デジタルトランスフォーメーション)など一連のデジタル化の流れは継続するとみられる。また、脱炭素を背景にEV(電気自動車) 洋上風力発電 パワー半導体といった環境関連も世界的な潮流といえる。いち早く経済が正常化している中国の動きは一層活発になりそうだ。中心銘柄としては全固体電池を搭載したEVの試作車の発表が予定されるトヨタ自動車 <7203> 、IoT自動運転への高性能センサーの活用が進むとみられるソニー <6758> 、5G、車載向けに積層セラミックコンデンサの搭載数が増加する村田製作所 <6981> 、EV駆動用モーターに積極投資の日本電産 <6594> などが挙げられる。これら主力には外国勢の断続的な買いが観測されている。

 ダークホース的な銘柄としてFA(工場自動化)関連で直動システムの日本トムソン <6480> 、洋上風力発電では風車の軸受けに強いNTN <6472> 、パワー半導体や地熱発電の富士電機 <6504> などが有望とみている。

2020年12月26日 記

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