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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「ワクチン普及に期待」

株式評論家 富田隆弥

◆「月末は下げる」「連休明けは高い」というアノマリー(経験則)が日本株にはあるが、日経平均株価は連休前日の4月30日に241円安の2万8812円と下げ、そして連休明けの6日は518円高の2万9331円と大きく上げた。ならば、このペースで「ボーナス月の6月に高値」という次のアノマリーに向けて期待も膨らむ。

◆5月6日に政府は4都府県に発出している緊急事態宣言(当初の期限は11日まで)を31日まで延長する方針を固めたと報じられたが、株式市場は同日大幅高を演じた。大手証券のリポートでは「ワクチン接種率が10%に達すると株価上昇に弾みがつく」と論じている。欧米株を検証してのものだが、日本も5月連休明けからいよいよ高齢者などへのワクチン接種が本格化する。

◆6日に日経平均が大きく上げた背景には「ショートカバー(買い戻し)」もあるが、ワクチン接種普及に伴う経済正常化を先取りした部分もあるだろう。そうであればアノマリーの「6月高値」も大いにあり得るシナリオとなる。

◆ただし、日経平均の日足チャートは25日移動平均線(6日時点2万9411円)に差し掛かったところであり、まだ往来相場の中のアヤ戻し(プルバック)の領域だ。6月高値に向かうにはこの25日線を突破し、3万円大台に乗せて4月6日につけた高値3万208円を抜く必要がある。

◆5月の日経平均は「3万円乗せ」の実現が一つの焦点であり、そのためには最高値を更新するNYダウ平均が堅調を維持することも条件となろう。米国ではパウエルFRB議長とイエレン財務長官がマーケットの過熱に関してコメントするようになり、ハイテク株中心のナスダック総合指数では5日時点で4日続落するなど調整含みの動きも見られる。これらを踏まえると、5月相場は「打診買い」から入って、機敏に動くスタンスで臨むのが良いだろう。

(5月6日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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