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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「この局面でのいたずらな弱気は無用!」

●株価は正しい!というものの……

 古来株価は正しい!株価は賢い!などという。実際、クラリオン <6796> の株価は2月4日の130円を安値に、「特別な材料はないのに」と論評されつつジリジリと水準を切り上げてきたが、4月22日に業績の増額修正を発表した。株価はこの“情報”を事前に知っていたのだろう。

 しかし、マーケットがすべて正しい!とは限らない。年初以来の日本株のパフォーマンス(下落率)はロシアに次いでワースト2位、堂々の“ブービー賞”である。

 日本市場はウクライナ情勢の緊迫化、中国リスクの存在、世界景気の失速懸念などの外部要因に加え、アベノミクスに対する失望感の台頭などをイヤ気している。

 外国人(特に、イベント・ドリブン型のヘッジファンド)がネガティブ・キャンペーンを展開していることもあろう。

 ただ、ドイツ、中国、フランス市場は意外に堅調である。これらのマーケットは外国人が日本株の売り材料にしている外部要因をほとんど気にしていない。さらに、NYダウは史上最高値に迫っている。

●日本株はなぜ、さえないのか?

 これはウクライナ情勢は早晩、落ち着くだろう、中国リスクは回避される、世界景気の失速はない、とマーケットが考えていることを示唆している。この点では株価は賢い!との見方ができる。

 問題は日本市場である。外国人は「アベノミクスは息切れ、4~6月期のGDP成長率は大きく落ち込む」と主張している。これはおかしい。再三指摘しているように、当時の橋本政権が政策ミスを連発した1997~1998年とは違う。

 政府の対応は万全だし、日銀は追加の金融緩和の手を残している。すでに、日銀は4月15日の安倍首相・黒田日銀総裁との会談を受け、当座預金残高を急増させている。

 これは昨年6月13日(日経平均株価はこの日1万2415円の安値を示現)の会談後のパターンと同じ(株価急落→会談→資金供給→株価反発?)である。

 企業業績については4月1日の日銀短観(大企業の2014年度の経常利益は2.3%減予想)がイヤ気されている。しかし、これは調査時点での円高傾向(1ドル=99円50銭が前提)のほか、消費税率引き上げ後の反動を過大に反映させている面があった、と思う。

●夏場には好材料が続出する!

 いずれにせよ、この局面で弱気になる必要はない。夏場には日銀の追加の金融緩和が行われる。

 アメリカはQE3の出口に向かっている。景気は好調である。これはドル高・円安につながる。

 さらに、GPIFの運用体制の見直しが行われる。日本株の組み入れ比率は現在の12%が20~25%に引き上げられるだろう。

 すでに、アクティブ運用の委託先は従来の国内系8社、海外系4社を国内系4社、海外系10社に大幅な変更が行われている。特に、ハリス・アソシエイト、タイヨウファンドなどフレンドリー・アクティビスト・ファンドの採用は衝撃的ですらある。

 6~7月には法人税率の引き下げ方針(35.64%を世界平均並みの25.64%に)が示されるだろう。これ(10ポイントの引き下げ)は上場企業の最終利益を15.5%押し上げるという。

 一方、物色面ではJT <2914> 、信越化 <4063> 、ブリヂストン <5108> 、不動テトラ <1813> 、アイフル <8515> など出来高を伴って上昇している銘柄を攻める戦術が有効である。

 “小物”では引き続いてJトラスト <8508> [東証2]、技研製 <6289> [東証2]、ADプラズマ <6668> [東証M]、DLE <3686> [東証M]、石井表記 <6336> [東証2]などに妙味があろう。

2014年4月23日 記

(「チャートブック日足集」No.1517より転載)
(「株探」編集部)

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