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【材料】【杉村富生の短期相場観測】


「外国人が日本市場に戻ってきたぞっ!」

●政策対応、状況は1997年とは違う!

 いや~、相場付き一変である。やはり、街角ウォッチャー調査(先行き判断DI)の急改善(5月12日発表)が反発のきっかけになった。実際、日経平均株価は5月21日の1万3964円(ザラバベース)が当面の安値になっている。

 これによって、マーケットが危惧していたのはまさに、消費税率引き上げ(5%→8%)後の景気失速懸念だったことがわかる。

 しかし、これについては再三指摘しているように、1997年4月(3%→5%の引き上げ)とは状況が違う。

 すなわち、当時は橋本政権が“逆噴射”と形容される政策ミスを連発した。もちろん、金融システム不安が存在していた。結果として、1997~1998年にかけて恐慌的な金融システム不安に陥る。

 だが、今回の政策対応は万全である。メガバンクの財務内容は良好だし、収益力、存在感は一段と高まっている。

●構造改革は着々と進展!

 構造改革は“牛歩”とはいえ、着々と進展している。すなわち、GPIFの運用体制の見直し(アクティブ運用の委託先の変更に加え、運用委員会の刷新)が好例である。

 7~8月にはモデルポートフォリオ(総資産129兆円)の大幅な組み替え(日本株、外債のウエイトを高める)が断行されるだろう。

 これによって、新たに20兆~30兆円前後の日本株、外債購入枠が発生する。これは円安要因となる。恐らく、夏場には1ドル=105円台の円安局面があろう。

 それに、日本株は出遅れが著しい。日経平均株価、TOPIXのPERはNYダウ、S&P500指数のPERを下回っている。ちなみに、日経平均株価の予想EPSは1150円である。仮に、S&P500指数並みのPER16倍に買うと、1万8400円という“目標値”が設定できる。

●とりあえず、昨年末の高値奪回を!

 とりあえず、足元では昨年12月30日の高値1万6291円奪回が先だが、その後は金融危機(サブプライムローン・ショック、リーマン・ショック、ユーロ不安)前の高値(2007年7月9日の1万8261円)挑戦の動きとなろう。

 なお、NYダウの金融危機前の高値は2007年10月9日の1万4164ドルである。すでに、この水準を大幅に上回っている。

 需給面は急改善を示している。外国人は日本市場に復帰、三菱UFJ <8306> 、マツダ <7261> 、新日鉄住金 <5401> などを執拗に買っている。いわゆる、ド真ン中の銘柄である。

 市場の活況を受け、個人は元気になりつつある。“良薬”は株高である。これに勝るものはない。まさに、利があれば……の図ではないか。

●個人好みの銘柄は…?

 個人好みの銘柄はLINE関連を軸に、クルーズ <2138> [JQ]、エイチーム <3662> 、UNITED <2497> [東証M]、日本マイクロ <6871> [JQ]、ADプラズマ <6668> [東証M]など。アドウェイズ <2489> [東証M]、アルチザ <6778> [東証M]、フリービット <3843> [東証M]なども狙える。

 これらの銘柄の売買代金は東証1部の売買代金ランキングの20傑に楽々入る。もっとも、これは最長保有時間が「5分」といわれる超ヘビー・ネット・トレーダーの高速回転商いのなせるわざだが……。

 一方、メジャー系の銘柄ではコムシスHD <1721> 、ALSOK <2331> 、キッコマン <2801> 、参天薬 <4536> 、TPR <6463> 、TOA <6809> 、東鉄工 <1835> などが強い。こちらは実需筋の買いが継続している。

 チャート的には前述のマツダのほか、東電 <9501> 、アイフル <8515> 、シャープ <6753> 、NTT <9432> に妙味がある。

2014年6月4日 記

(「チャートブック日足集」No.1523より転載)

(「株探」編集部)

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