【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「“アベクロ”バブル相場に乗り遅れるな!」
●個別物色機運は極めて旺盛!
全般相場(インデックス)をみると、完全に“夏枯れ”商状となっている。確かに、外国人を含め、機関投資家は夏休みモードである。
しかし、個別銘柄の動きは違う。特に、新興市場のミクシィ <2121> [東証M]、サイバダイン <7779> [東証M]、ワイヤレスG <9419> [東証M]、アスカネット <2438> [東証M]、日本マイクロ <6871> [JQ]、ディディエス <3782> [東証M]などは大商いを演じ、株価が急騰している。
個人投資家の短期ディーリングの対象になっているのだろう。
メジャー系ではコムシスHD <1721> 、キッコマン <2801> 、日本ペ <4612> 、ダイキン <6367> 、花王 <4452> などが抜群に強い。実需筋の買いが入っている。
商い面ではコマツ <6301> 、KLab <3656> 、エイチーム <3662> が動兆しきり。この動きは要注目ではないか。
●NYダウは金融危機前の高値を21%上回る!
もちろん、目先は各論勝負とはいえ、総論だって、不安はない。日経平均株価は早い段階(秋口?)に、昨年12月30日の高値(1万6291円)を奪回するだろう。
その後、金融危機前の高値(2007年7月9日の1万8261円)挑戦の展開になる、と考えている。
すでに、NYダウは金融危機前の高値(2007年10月9日の1万4164ドル)を21%上回っている。7月16日の1万7138ドルは史上最高値である。
テクニカル的には大勢2番底を形成、反騰態勢を固めている。中期的な目標値はバブル崩壊後の戻り高値の1996年6月26日の2万2666円になる。これは無理な“注文”ではないだろう。
もっとも、その前に、昨年末の高値、金融危機前の高値をクリアすることが先だが……。
●円安・株高は安倍政権の基本政策!
さて、ここでは長期的な視点での相場解析を行ってみよう。
日本再生→失われた20年の克服を目指す安倍政権のアベノミクス(3本の矢)の断行、円高阻止→円安定着を狙う黒田日銀総裁の異次元の金融緩和を評価する“アベクロ”バブル相場(この名称は筆者が名づけたものであり、一般的にはだれも知らない)は2年目の後半に突入、いよいよ佳境を迎えている。
政府は明確に、円高・株高(資産インフレ)の方針を打ち出している。そう、デフレ脱却の切り札は円安・株高である。
同時に、日本は財政再建が急務である。こちらはインフレ、増税(すでに、相続税は課税強化の動きが鮮明に→基礎控除額は4割圧縮)のセットになろう。
●バブルと認識していないからこそ、バブル?
前回の平成バブルは1985年9月22日のプラザ合意(円高・ドル安)以降の超円高→円高不況に対応した財政出動、金融緩和を背景に起こった。円高対策という意味では現在と状況が酷似している。
ちなみに、日経平均株価は1年目(1986年)に49%、2年目に10%、3年目に37%、4年目に22%上昇した。今回は1年目(2013年)に51%上昇したものの、2年目は“経験則”通りにもたついている。しかし、年末には1万7920円絡みの水準になろう。プラス10%である。
単純に、前回のバブル時の上昇率を当てはめると、最終的には2万9950円前後になる。「エッ?そんなバカな」とだれもが思うだろう。しかし、バブルとはそんなもの。バブルと認識していないからこそ、バブルになる。ITバブルのときがそうだったじゃないか。
実は、ITバブルには多くの投資家がついていけなかった。いや、証券会社の営業員もそうだった、という。
いずれにせよ、この「官製バブル」に乗らない手はない。極端な話、バブルはトレンドである。
2014年7月30日 記
(「チャートブック日足集」No.1531より転載)
(「株探」編集部)