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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 株価は「最悪シナリオ」を織り込む局面!

株式評論家 杉村富生

「株価は『最悪シナリオ』を織り込む局面!」

●「Cash is King」の心理状態に!

 いや~、ひどい相場である。メチャクチャだ。多くの投資家が「株式を持っているのは怖い」と思っている。いわゆる、「Cash is King(現金がすべて)」の心理状態だろう。それに、ネット証券によると、信用取引(買い)の評価損率が30~40%になっているらしい。投げ売りに走るのはやむを得ない面があろう。

 しかし、再三指摘しているように、株式には価値がある。“有価”証券というではないか。無価ではない。3月17日に、日経平均株価は1万6378円のザラ場安値をつけた。この水準のPBRは0.79倍だ。リーマン・ショック時(2009年10月)の0.81倍、東日本大震災後(12年6月)の0.87倍を下回っている。

 異常な数値である。東証1部の加重平均配当利回りは17日に3.16%まで上昇した。こんな数値は記憶にない。ほぼゼロ金利の超低金利下、この配当利回りは魅力だろう。なにしろ、個人金融資産の5割強の1000兆円が現・預金だ。いかにリスクを嫌う国民性とはいえ、これはひどすぎる。

 そう、肝要なのはリスクを取る勇気である。歴史的な相場巧者(ジョセフ・ケネディ、ピーター・リンチなど)は例外なくバーゲンハンターだ。足が震え、背中がゾクゾクッとするような局面を買って財を成した。すなわち、この世界では「恐怖の林を抜け絶望の森に踏み込んだ者だけが勝者となる」。いままさに、恐怖の局面ではないか。

●投資対象を絞り込んでの買い下がり戦術を!

 さて、ここでは投資対象にマトを絞っての買い下がり戦術が有効だろう。まず、ETFのNEXT日経平均レバレッジ <1570> [東証E]だ。17日には1万340円の安値まで売り込まれた。直近の高値は1月17日の2万3240円であり、下落率は55.5%になる。全般相場が落ち着けば1万8000円前後までの戻りは速いと思う。

 為替は1ドル=108~109円の円安に振れている。これがプラスに作用する。2~3月の株価急落は新型コロナ・ショックのダメージに加え、1バレル=22ドル台の原油安(“逆”オイル・ショック)、日本の場合は「最悪シナリオ」の企業業績の20%減、東京五輪の延期・中止、GDP(1~3月期)の2ケタマイナス成長、安倍政権の崩壊を織り込んだ結果、といえる。

 物色面ではまず、新型コロナウイルス(LAMP法による簡易検査キットの開発)関連の栄研化学 <4549> はどうか。3月13日には2862円の高値がある。20年3月期の営業利益は43億5000万円(前期比5.7%減)と予想しているが、4~12月(9ヵ月)に43億4900万円を確保している。1~3月は「100万円」というのはないだろう。

 直近IPO(3月上場)銘柄のきずなホールディングス <7086> [東証M]は公募価格が2320円だった。時価は1700円絡みだ。フォーラムエンジニアリング <7088> は公募価格が1310円、時価は660円前後とほぼ半値だ。20年3月期は「45円配当」を公約している。配当利回りは6.8%だが……。青山財産ネットワークス <8929> [東証2]の900円前後は買える。

2020年3月18日 記

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