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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 物色の矛先は改めて業績に安心感のある銘柄へ

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「物色の矛先は改めて業績に安心感のある銘柄へ」

●3万円奪回の機運が次第に高まる

 今週の日経平均株価は、主要企業をはじめとする良好な決算発表が相次いだうえ、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向やワクチン接種開始の接近、さらに米経済対策の早期成立に対する期待感などを背景に、節目の2万9000円を回復すると一気に2万9500円まで水準を切り上げる展開となった。2万9500円に乗せた後は利食いをこなしながら底堅い展開が続いており、押し目買い意欲の強さが窺える。3万円奪回に向けて上値追いの機運が次第に高まっている状況と言えよう。

 一気に3万円台乗せ達成は厳しいだろうが、景気敏感セクターに加えて足もとで調整がみられたハイテク株を見直す動きもあり、ブル相場が継続しよう。決算発表が一巡したことで今後は機関投資家も動きやすくなると考えられ、業績に安心感のある銘柄などに改めて物色の矛先は向かいやすい。また、2万9500円レベルでの底堅さが意識される場面では、業績面を手掛かりに個人主体の値幅取り狙いの売買が中小型株などでも活発化しよう。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆フェローテックホールディングス <6890> [JQ]
 真空シールの世界シェア6割超、サーモモジュールでは4割近いシェアを誇る。2月10日に、21年3月期の連結営業利益を従来予想の65億円から90億円(前期比49.7%増)に上方修正した。12日の株式市場では上方修正を評価する流れから窓を空けて上昇し、25日移動平均線を突破。シグナル好転から一段の上昇が期待される。

◆NexTone <7094> [東証M]
 音楽著作物の利用の許諾と使用料の徴収・分配といった著作権サービスを展開。ホームエンターテインメントの広がりにより、音楽・動画配信ニーズが拡大。管理楽曲・取扱原盤の利用拡大や促進を背景とした著作権等管理事業の拡大が好業績を支える。10日に、21年3月期の連結営業利益を従来予想の3億8000万円から5 億円(前期比63.9%増)に上方修正。これが好感されて株価は分割後高値を更新。分割修正考慮済みの8月高値である4200円を意識したトレンド形成に期待したい。

◆CYBERDYNE <7779> [東証M]
 身体機能を改善・補助・拡張・再生することが可能な装着型サイボーグ「HAL」シリーズを展開。2月から同社初となるテレビCM「自宅でNeuro HALFIT」を放映しており、自宅での利用イメージを伝えることにより、「HAL」シリーズの認知度は一段と高まる可能性もありそうだ。株価は昨年11月高値975円をピークに調整が続き、13週移動平均線を割り込んではいるものの、26週移動平均線を支持線としてリバウンド基調にある。

◆デジタルホールディングス <2389>
 大手ネット広告会社でありデジタルシフトを加速させている。2 月10日に発表した決算では、20年12月期の連結営業利益は大手の特定業種顧客から年末の広告需要を着実に確保できたことなどが寄与し、会社計画(20億2600万円)を上振れて32億4000万円で着地。21年12月期の営業利益は前期比3.1倍の100億円へ急拡大を見込む。決算評価から12日に昨年来高値を更新したものの、買い先行後は利食いに押される形となったが、仕切り直しの展開を想定する。

◆ディーブイエックス <3079>
 循環器疾病分野の高度管理医療機器などを手掛ける。2月10日に、21年3月期の連結営業利益を従来予想の5億1500万円から7億7400万円(前期比30.6%減)に上方修正した。新型コロナの感染拡大を背景に、外出自粛要請による医療機関への来院数の減少や緊急性の低い治療の延期などにより症例数が減少した影響はあるが、コスト削減に加えて一部販売費や一般管理費の経費予算の執行の遅れなどにより利益は従来計画を上回る。また、今後はワクチン接種が開始されることにより、事業環境は徐々に改善していくと考えられる。株価は1000~1050円辺りのボックスレンジを上放れてきている。

2021年2月12日 記

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