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【市況】日経平均は1月高値“2万4129円”を目指す? 上昇期待のそのワケは <東条麻衣子の株式注意情報>

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

 前週末にかけて日経平均株価はチャート上のポイントとされた2万2300円処を大きく上抜いてきた。節目を突破したことでテクニカル面でも相場は好転。いよいよ業績相場へ移行すると考え、ここから8月初旬にかけては押し目買いのスタンスで臨みたい。

■“貿易摩擦”を巡る米中両国の反応

 16日の中国国家統計局の発表によると、「米国との貿易摩擦による中国の消費者物価指数(CPI)への影響は限られ、今年下期の消費者支出は安定を維持。中国経済の安定した改善傾向にも変化はない」としている。

 10日には米通商代表部(USTR)が2000億ドル相当の中国製品を対象に10%の追加関税を課す方針を発表した。最終的な品目はパブリックコメントの募集や公聴会実施を経て決定され、その発動は9月以降となる。現時点では米国市場で貿易摩擦の影響を懸念する動きは限定的であり、業績相場へと移行する日本市場も米株高に追随していくものと予想する。

■IMFによる成長率の下方修正も響かず

 16日、IMF(国際通貨基金)は世界経済に関する成長見通しを発表し、日本と欧州の経済成長見通しを下方修正した。日本に関しては、18年の成長率を消費が弱含んでいることを理由に3カ月前の予測から1.0%へと0.2ポイント下方修正。これは日本のマーケットにとってマイナス材料と捉えられてもおかしくなかったが、17日の東京市場を見る限り、売り材料として受け止める動きは限られたようだ(17日の日経平均終値は前日比100円高の2万2697円)。日本も米国同様、決算期待による買いが株価を支えていることが窺える。

 1-3月期決算の時点では想定為替レートを1ドル=105円~110円に設定している企業が多く、現在、 為替が112円台で推移していることを考えれば、業績の上方修正期待が高まりやすい環境にあることは株価の大きな下支え要因となるだろう。

■金融株活躍の萌芽、素直に買いにつく局面

 16日に発表されたBoA(バンク・オブ・アメリカ)の4-6月期決算は市場予想を上回って着地。ドイツ銀行の見通しも市場予想を上回った。

 国内に目を移すと、前回の当コラム「揺るぎなき“買い方有利”、4-6月決算シーズンに向け上昇基調続く」で指摘した通り、「さくらレポート」によれば「貸出残高」が法人、個人向けともに増加傾向にある。これらを踏まえると、これまで上値を抑えられていた日本の金融銘柄にも期待が集まりやすい条件が整いつつあるといえるだろう。

 筆者は上記のような内外環境から、4-6月期決算の発表が終わる8月上旬までは下げにくい相場が続くと予想する。今後、発表が本格化する決算内容が底堅いものになれば、日経平均が1月高値2万4129円を目指す展開もあるのではないか。

 ただし、その後、8月内に調整入りする可能性もあるとみているが(これについては後日執筆する)、いまは7月5日を始点とするこの上昇トレンドに素直についていくのが賢明だろう。 (2018年7月17日 記)

◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。相場変調の可能性が出た際、注意すべき情報、懸念材料等を配信。

株式注意情報.jp http://kabu-caution.jp/
Twitter https://twitter.com/kabushikichui

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