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【市況】“FAANG”からの警告、8月「日本株の行方」占うアップル株 <東条麻衣子の株式注意情報>

コマツ <日足> 「株探」多機能チャートより

 国内企業の4-6月期決算発表が本格化するなか、上値の重い展開が続いている。

 コマツ <6301> は前週末の7月27日引け後に市場予想を上回る決算を発表したが、その株価は週明けの30日に大幅反落した。同様にライバルのキャタピラーも30日にアナリスト予想を上回る第2四半期決算を発表し、通期の利益見通しを引き上げながら、米中貿易戦争の影響が懸念されて売り先行となり同日2%下落した。

 日米ともに決算に対する市場の反応が先週あたりから変調を来たしているように感じられる。そして、この“変調”を顕著に表しているのが、米国株上昇を牽引してきたFAANG(フェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット=グーグルの親会社)の動きではないだろうか。

■フェイスブック決算を機にFAANGに変調

 FAANGの中で先陣を切って第2四半期決算を発表したのは17日のネットフリックスだった。契約者数が予想を下回ったことが失望を誘い、場中に一時14%下げる場面はあったものの、切り返して引けは5%高で終えている。この時点では懸念材料を跳ね返すほど、FAANG銘柄に対する市場の期待感は強かったといえる。

 ところが、25日のフェイスブックの決算発表を機にFAANGの株価には変調が表れ始めた。翌26日にフェイスブックは20%近く下落し、僅か一晩で1200億ドル(約13兆円)の時価総額を失った。そして、「FAANG」にツイッター、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラを加えて構成されるNYSE・FANGプラス指数は30日現在、3営業日で9%も下落。2015年8月以降で最大の下げを演じ、その変調は誰の目にも明らかとなった。

 この“変調”を受けて、クレディ・スイスやバンク・オブ・アメリカ、モルガンスタンレーといった名だたる金融機関のストラテジストがテクノロジー株に対して警鐘を鳴らし始めている。

 では、その引き金を引いたフェイスブックの決算内容は、FAANG銘柄の下落を牽引するほどの内容であったかというと、筆者はそうではないと考える。そもそも、フェイスブックの決算発表スタイルは、過去の事例をみても保守的であることが多かった。また、個人情報流出問題を背景にセキュリティ予算が増大すると伝えられているが、これは一時的な費用であり、通常であれば株価に与える影響は限定的と考えられる性質のものである。現在のマーケットの受け止め方は過剰に反応しているように思える。

■決算発表後のアップルの株価が焦点に

 とはいえ、米国・日本ともに好決算の発表にも関わらず、マーケットは好材料よりも懸念材料に目を凝らして動いている節がある。

 筆者はこれまで8月初旬までは決算期待に支えられて全般相場は堅調に推移するとみていたが、海外勢が夏休み入りする閑散期を前に利益確定の動きを早めているのかもしれない。

 そうなると、売買代金の6割以上を海外投資家が占めるといわれる 東京市場も、米国市場に追随する形で調整局面入りする可能性もあるだろう。

 31日に第3四半期決算を発表するアップルは、主力のiPhoneの販売好調により増収増益が見込まれているが、同社の決算発表を受けた株価の反応次第では、前回の記事(「決算発表『通過後』に注意、堅調から軟調“潮目”に変化も」)で指摘した「潮目の変化」が決算通過を待たずに訪れることもあり得よう

 アップルの決算、それを受けてFAANG銘柄がどのように推移するのか…。今後の東京市場の方向感を見定める上で、まずはアップルの動きに注目したい。

◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。相場変調の可能性が出た際、注意すべき情報、懸念材料等を配信。

株式注意情報.jp http://kabu-caution.jp/
Twitter https://twitter.com/kabushikichui

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