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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 好材料にも目を凝らせ!!

株式評論家 植木靖男

「好材料にも目を凝らせ!!」

●悪材料満載の中、株価下落を阻むもの

 3月下旬にかけて、東京では桜がすでに開花しているなかで、雪が降った。いささか風流すぎるが、異常である。51年ぶりという。異常といえば新型コロナウイルス。どこかで異常気象とつながっているのかもしれない。

 ところで、発生地の中国から欧州、そして米国へとコロナウイルスの震源地が移行している。その過程で世界の株式市場は大きく震撼している。市場はこのウイルスに太刀打ちできず、打ち負けているのだ。こうしたなかで、株価の先行きを見通すことは至難の業だ。

 したがって、“姿の見えない敵”を相手に、株価見通し論は議論百出とならざるを得ない。といっても投資家の信頼を得るような見通しは、百通りあってもこれという決定打は見いだせないのが現状である。市場環境を見渡せば悪材料満載で、コロナの拡大懸念、原油安、企業収益の大幅減予想、失業率の急上昇など、まるで世界経済、金融が破綻するかのような話題に事欠かない。

 だが、であれば株価は日々どんどん下落するのかといえば、そうではない。現状、日経平均株価を見れば3月19日の安値を下回っていないのだ。ということは、株価下落を阻む何かの好材料があるからだ。

 たとえば、コロナ先進国の中国は早くも武漢封鎖を解除、コロナを制覇しつつあることを世界に示している。このことは、やがて欧米なども同じプロセスに入るとみてよい。

●下値不安乏しい銘柄で短期勝負

 わが国株式市場をみれば、1~2月の売買代金1~2兆円だったものが、3月に入って3~4兆円と膨らんだ。株式を売る人もいれば買う人もそれだけ存在するということだ。中堅証券あたりには、いつもと違った相当の新規資金が入ってきているという。おそらく、富裕層のそれとみてよい。

 次に、株式指標にも明るい材料がある。PERはこうした暴落時には通用しないが、PBRは別だ。目下、0.87倍だ。これは歴史的にみても最低水準とみてよい。企業収益は大幅減益であっても、大企業がそろって赤字企業になるとは思えない。PBR0.87倍は好材料といえそうだ。

 ところで、こうしたことを踏まえて、少なくとも4月相場を予想すると、この水準では下値もあまりなく、上値も重い。つまり、底値波乱がなおしばらく継続するとみたい。2月高値から3月安値までの日柄が約1ヵ月、それほど長くない。とすると、底値波乱も近々終わりを告げるのではないか。

 さて当面の物色は、それなりに上値を追うだけの人気があり下値不安が乏しい、こういう銘柄の短期勝負といきたい。だが、いったん下げの気配が見えたら、躊躇なく逃げるのが勝ちであることもお忘れなく。

 まず、メドピア <6095> [東証M]。オンライン診療はコロナ終息後も成長性は高そうだ。また、佐川急便で知られるSGホールディングス <9143> に注目したい。新たに日経500に採用。巣ごもり消費の代表株だ。エムスリー <2413> も妙味大きい。ここまでパフォーマンス的にもっとも安定度が高い。“医療情報のグーグル”と言わしめるほどだ。

2020年4月3日 記

株探ニュース

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