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【市況】ESG最前線レポート ─ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点に基づく投資とは?


第1回 「ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点に基づく投資とは?」
株式会社グッドバンカー
リサーチチーム 倉橋 麻生

●世界的な潮流となったESG投資

 はじめまして。弊社グッドバンカーは、1998年にアジア初のSRI/ESG専門投資顧問・調査会社として設立され、1999年、日本初の社会的責任投資(SRI/ESG)型の投資信託「エコファンド」を開発しました。以来、20年以上にわたって様々な運用会社にESG投資のための情報提供と投資助言を行っています。

 これから毎月、ESG投資を巡る最新の情報や知見を皆様にお届けいたしますが、初回となる本コラムではまず「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の観点に基づく投資とは何かを、弊社の業務とともにご紹介いたします。

 多くの投資家は、株式の配当や未来の業績予想など、もっぱら数字で表される財務的な指標をもとに企業を選別しています。

 しかし、「社会的責任投資(SRI/ESG投資)」とは、従来の財務分析による投資基準に加え、「ESG=環境(Environment)」、「社会(Social)」、「ガバナンス(Governance)」といった、非財務的な要素も投資の判断材料とする投資行動のことです。
 
 「環境負荷低減に適切に取り組んでいるか」「従業員や取引先・調達先に適正な契約条件を提示しているか」といった物差しで企業の行動を点検し、投資先を決めるのです。

 企業がこうした社会的責任を果たしているかどうか。ESG投資と呼ばれるこの考え方に沿って投資されているお金は、世界中で35.3兆ドル(約3900兆円)[2020年]に上ると言われています。また、日本では2.9兆ドル(約320兆円)がESG投資に充てられており、過去2年で32%増加しています(以上、世界持続的投資連合[GSIA発表])。

 弊社では、このESG投資のための企業調査・分析・評価・投資アドバイスを行っております。


●ESG調査の現場――アジア初のSRI/ESG専門投資顧問・調査会社として

 弊社のアナリストが分析、評価するのは、企業がESGの課題に積極的に取り組み、そのことが競争力につながるような経営を行っているのかどうか、ということです。

 分析、評価するためのツールとして、独自の格付システムを開発、およそ800項目について、業界ごとの特性を考慮しながらスコアによる定量評価を行っています。技術の進歩や社会の変化に合わせて、定期的に評価指標や配点の見直しがなされており、そのためにアナリストには高度で広汎な知識と判断力が求められます。

 情報収集のスキルも必要です。弊社には、九州・鹿児島と長野にはサテライトオフィスがあります。地方に本社のある上場企業の、その土地ならではの評判を収集して、東京で確認のための訪問やヒアリングをすることもあります。また、地方新聞に載った記事で関心を持ち、中央ではあまり知られていない企業を訪問、調査することもあります。その結果、新たに投資対象になるような企業が発掘されることがあります。このような情報は投資ユニバースの拡大につながると、運用者に高く評価されています。

 オフィスにこもって、インターネットなどで公開情報に当たっているだけでは得られない、体を使った定性的な情報の蓄積が、実は企業の変化が数字にあらわれる前の、いわば「変化の予兆」といったものを捉えるために有効ではないか、ということが、当社の経験知です。ここに当社ESG調査の競争力があると自負しております。

 また、当社のESG格付の推移と企業価値の相関については、大学の研究室やシンクタンクなどで学術的な実証研究が行われており、ポジティブな結果が出ています。いつでもどこでも、ESGというレンズを通して見る企業の姿を、正しく捉え、発信することで、企業の成長と社会の進歩をサポートし、地球のサステナビリティに貢献するのがESGアナリストの仕事です。

 今やESG投資は世界的な潮流であり、経営者に対して、収益だけでなく、環境や社会問題にも関心を持つよう促し、そのことで企業価値を高めていく、ESG投資家にはそんな役割もあるのではないでしょうか。

情報提供:株式会社グッドバンカー

(2021年10月28日 記/次回は11月27日配信予定)



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