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【特集】バイオ医薬ブレイクスルー <株探トップ特集>


―新法効果で承認期間短縮、再生医療品初承認で活気―

 バイオ医薬品関連株が再度、注目を集めている。ノーベル賞や環太平洋連携協定(TPP)に絡みバイオ関連が話題となったほか、10月は秋の学会シーズンを迎える。また、先月には昨年施行された新法の下、承認された初の再生医療製品が登場。iPS細胞などに絡む、バイオ関連株の再評価の契機になるとの期待が膨らんでいる。さらに、バイオ医薬品の後発薬にあたる「バイオシミラー」への関心も高まっている。

●「ブレーク・スルー」となる新法

 先月、バイオ関連業界が待ち望んでいた発表があった。厚生労働省はテルモ <4543> とJCRファ <4552> の再生医療品2件の承認を明らかにした。

 テルモは心不全の治療に使う再生医療製品「ハートシート」が製造販売承認を受けた。また、JCRファのヒト間葉系幹細胞(MSC)を利用した再生医療等製品「テムセルHS注」が製造承認された。

 この2製品は14年11月に施行された医薬品医療機器法(改正薬事法)の下で承認された初の再生医療製品となった。再生医療製品の普及を狙って施行された同法により、従来は申請から承認まで3年程度かかった期間が1年程度で承認された。

 かねてから、同法はバイオアナリストから「再生医療などバイオ関連業界にとってはブレーク・スルーとなるもの」として注目されていた。これを契機に、先行した2製品に続く動きが予想され、日本のバイオ分野全体が活気づくとの期待が強まっている。

●秋の学会シーズン入り

 先週以降、バイオ関連株がにわかに注目を集めている。ノーベル医学生理学賞を北里大学の大村智特別栄誉教授が受賞したことを受け、同大学と共同研究を行っているカルナバイオ <4572> [JQG]が人気化。また、TPPを巡ってはバイオ医薬品の特許期間を巡る駆け引きがあり、その重要性が再認識された。

 さらに今月は14日から横浜で展示会などの「Bio Japan」が開催されるほか、8日からの日本癌学会学術総会など、秋の学会シーズンを迎えている。

●タカラバイオ、そーせいなどに注目

 注目度が高まるバイオ関連業界だが、例えばバイオ医薬品の場合、市場規模は13年に16兆円に達し、20年にはさらに30兆円に拡大するといわれている。化学合成で作られる従来の「低分子医薬品」に比べバイオ医薬品は複雑な構造を持ち、価格も高額だ。

 低分子医薬品からバイオ医薬品へのシフトが急速に進むなか、世界の医薬品業界で、日本の競争力に陰りが出ているともいわれている。

 このなか、政府は国家戦略特区においてiPS細胞生産の規制緩和を京都企業に認定するなど、バイオ関連産業の育成を図っている。

 株式市場では、今年に入りiPS細胞関連のヘリオス <4593> [東証M]や再生医療関連のサンバイオ <4592> [東証M]が新規上場し脚光を浴びた。また、個別企業では遺伝子治療薬関連のパイプラインが充実しているタカラバイオ <4974> やリード化合物が順調に発掘されているペプドリ <4587> [東証M]、アルツハイマー治療薬関連の展開が期待されるそーせい <4565> [東証M]などが注目されている。

●バイオ後続品にも焦点

 さらに、バイオ関連で熱い視線を集めているのがバイオ医薬品の後発薬に相当する「バイオシミラー」だ。一般の後発医薬品と同様にバイオ医薬品が割安な価格で生産できることから、医療費抑制の観点からも期待度が高い。

 バイオシミラー関連では 日化薬 <4272> はリウマチ治療薬「レミケード」の後続品を昨年11月に販売。日医工 <4541> も同薬の後続品の販売承認を進めている。

 富士フイルム <4901> や持田薬 <4534> 、明治HD <2269> などもバイオ後続品を展開しているほか、バイオベンチャー系では、ジーンテクノ <4584> [東証M]やJCRファなどが注力している。


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