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【特集】「民泊」、ホテル不足解決の切り札に <株探トップ特集>


―規制緩和で関連株に脚光!―

●訪日客急増に対応

 訪日外国人の増加により、インバウンド消費の拡大などのメリットが注目されているが、その一方で深刻になってきているのが宿泊施設の不足だ。9月30日に発表された8月の客室稼働率(第1次速報)は、シティホテル84.9%、ビジネスホテル80.1%であり、ホテルの予約が取りにくくなる80%を上回っている。2020年の東京五輪を控えて、この傾向は続くと予想されるが、そうした中で注目されているのが「民泊」だ。

 「民泊」とは、個人が自宅など一般の住宅に有料で宿泊客を泊めることで、欧米では自宅の一室やバケーション期間中に1ヵ月単位で自宅を第三者に貸すなどして一般に普及している。米国に本社を置き、空き部屋をインターネットを通じて仲介するサイトとして世界的に有名な「Airbnb」(エアビーアンドビー)では、世界190ヵ国の3万4000都市以上で「民泊」を仲介。利用者も600万人以上となり、さらにその数は増加し続けているという。

 同サイトは日本でも14年から事業を開始し、都内を中心に1万3000件以上の物件が登録されるなど、日本でも徐々に「民泊」が広がりつつあるが、本格的な普及に至っていないのが現状だ。

●来年1月、大田区で本格スタート

 日本では、個人が空き部屋などを宿泊施設として提供することは、旅館業法に抵触する可能性があることがその理由で、泊まらせるのが1回きりならば構わないが、繰り返し宿泊させるとなれば、「業」となり、旅館業法の対象として、さまざまな規制が適用されることになる。

 現在は厳しく取り締まられているわけではないが、大きな問題が起これば強化される可能性もある。いわば旅館業法の「グレーゾーン」のまま、日本でも「民泊」が広がり始めたわけだが、訪日外国人増加を背景とした宿泊施設不足は“待ったなし”の状況。そのため、ここにきて規制緩和に向けた動きが活発化している。

 その一つとして、東京都大田区では10月14日、国家戦略特区の特例措置を活用して、「民泊」の規制緩和を来年1月に始める計画を発表した。利用者を7日以上滞在する外国人に限定するほか、安全確保のための行政の立ち入り権限などを盛り込んだ条例を年内に制定する。また、27日には、大阪府議会でマンションやアパートの空き部屋を活用できる全国初の「民泊」条例が可決され、早ければ来春から制度が運用される見通しだ。

●ネクスト、インテリクスなど注目

 このように「民泊」に向けた規制緩和が始まるなか、民泊に関連したビジネスもまた拡大するとみられており、関連銘柄にも関心が高まっている。

 まず注目されるのが不動産情報サイトだろう。不動産仲介大手のエイブル(東京都港区)では昨年5月、とまれる(東京都千代田区)と組んで旅行者向け宿泊マッチングサービス「TOMARERU」を開始したが、掲載物件数業界トップの「HOME'S」を運営するネクスト <2120> や、賃貸住宅管理やホテル運営に強みを持つレオパレス <8848> 、スターツ <8850> なども同様のサービスを行うだけの下地がある。また、アンビション <3300> [東証M]は居住用不動産を転貸するサブリースが主力であり、外国人の借主にも注力していることから、思惑が働きそうだ。

 一方、「民泊」をビジネスとして展開する場合、リノベーションを行うケースの増加が想定されることからインテリクス <8940> [東証2]やスターマイカ <3230> [JQ]、イントランス <3237> [東証M]など中古マンションのリノベーションを手掛ける企業にもビジネスチャンスが広がりそう。

●家事代行やスマートロックにも商機

 また、トラブルへの対応や掃除などの管理が避けられないことから、不動産管理受託や警備サービスを手掛けるトラストHD <3286> [東証M]や掃除など家事代行のダスキン <4665> 、水回りや鍵、電気・ガス設備などのトラブルに対応するJBR <2453> やアクトコール <6064> [東証M]なども関心を集めよう。

 さらに、スマートフォンを使って鍵の受け渡しを不要とするスマートロックの利用も考えられるため、スマートロックベンチャーのフォトシンス(東京都品川区)と連携するユニシス <8056> などにも注目したい。

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