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【特集】第3四半期決算が本格化、日経平均3万円乗せへ追い風は吹くか <株探トップ特集>

ついに決算発表シーズンが始まった。半導体関連などハイテク系企業を中心に好業績期待は強く、決算を機に投資家心理が好転すれば、先行き日経平均3万円が視野に入りそうだ。

―業績底堅く「節分天井」回避に期待、来期一段の増益を織り込む局面に―

 東京市場は、決算シーズンに突入した。その第3四半期(20年10-12月)決算の先頭を切って25日に発表された日本電産 <6594> の業績は好調だった。足もとでは、日経平均株価は約30年半ぶりの高値圏にあるが、この株高を支えているのが、来期に向けての業績拡大観測だ。市場には株価の上昇ピッチの速さから「節分天井」を警戒する声もあるものの、底堅い業績を背景に日経平均株価は3万円を目指す展開を予想する見方が少なくない。

●日電産は21年3月期業績予想を増額修正、ハイテク決算に注目

 日電産の21年3月期の連結営業利益は従来予想の1400億円から1550億円(前期比40.5%増)に増額修正された。主力の小型モーターが好調で業績を押し上げた。同時に自社株買いの実施も発表したことが好感され、この日の同社株は上場来高値を更新した。

 日電産の決算を受け、市場関係者からは「決算シーズンは幸先の良いスタートを切った」と前向きに評価する見方が出ている。特に、シーズン前半は半導体関連を含むハイテク企業の決算が焦点となる。27日の信越化学工業 <4063> や28日のアドバンテスト <6857> 、東京エレクトロン <8035> などに好決算への期待が強まっている。これから本格化する決算発表のピークは、2月12日の760社強、続いて今週末の1月29日の410社強、2月5日の370社前後の予定だ。

●日経平均の上昇は業績拡大を背景に一定の合理性持つ

 日本企業の業績は、大企業の場合、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で20年3月期第4四半期(20年1-3月)と21年3月期第1四半期(4-6月)は大幅減益となったが、その後、減益幅は縮小。21年3月期は通期ベースでは減益だが、22年3月期は大幅増益へV字回復となるとの予想図が描かれている。

 この業績予想を背景に株価は急激な上昇を続け、日経平均株価は25日には2万8822円と約30年半ぶりの水準に上昇した。急激な株価上昇を警戒する向きは少なくないが、国内大手証券では「一定の合理性を持った上昇」とみており、バブルの再来を否定している。特に、世界の株式市場を牽引する米国市場の上昇はEPSの回復に沿ったものと分析され、日本株に対しても、まだ強気姿勢を崩すべき局面ではないと指摘している。

 また、この時期に気になるのは「節分天井」だが、大手証券のテクニカルアナリストは「日経平均株価は新たな上昇波動が進行中であり、2万8770円どころのフシを上回れば、早期に3万円も」と予想している。このチャート上のフシは25日に突破した。26日の日経平均株価は大きく下落したが、急伸後の一服とみられ、堅調な業績を背景に2月以降も株価は3万円を意識する堅調な展開が期待される。

●任天堂やソニー、トヨタなど主力企業の決算がセンチメント左右

 2月に入ってからは1日の任天堂 <7974> 、3日のソニー <6758> 、8日のソフトバンクグループ <9984> 、10日のトヨタ自動車 <7203> の発表が予定されており、これら主力銘柄の決算内容が、東京市場全体の相場を大きく左右しそうだ。

 任天堂に関しては、巣ごもり需要によるゲーム機「ニンテンドースイッチ」の好調に期待。市場には21年3月期の連結営業利益は会社予想の4500億円に対して、5300億円前後への増額観測がある。ただ、業績にはピークアウト懸念もあるだけに、決算発表の内容と株価の反応が注視されている。ソニーに関しては、10月に21年3月期の会社予想の連結営業利益は6200億円から7000億円に引き上げられたが、市場には最終的には7600億円前後へ増額されるとの予想も出ている。

 トヨタは、場中に決算発表を行うことから全体相場への影響も大きい。11月には21年3月期の連結営業利益を5000億円から1兆3000億円に大幅増額修正した。今回の決算では、世界の自動車販売の状況と半導体不足の影響などの見方も関心を集めている。ソフトバンクグループは、その業績は投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」次第となる。7~9月期に業績は急回復したが、10~12月期も米ドアダッシュの評価益の計上などが予想されている。

 全体相場のセンチメントを左右するのはこれら主力株だが、新型コロナウイルスの影響を受ける百貨店や電鉄、空運などの動向も要注目だ。27日の三越伊勢丹ホールディングス <3099> 、29日のJR東日本 <9020> 、ANAホールディングス <9202> なども注視したい。


■第3四半期決算の主なスケジュール
  27日  信越化学工業、三越伊勢丹ホールディングス、オムロン <6645> 、ファナック
  28日  富士通 <6702> 、アドバンテスト、東京エレクトロン、
HOYA <7741> 、大和証券グループ本社 <8601>
  29日  コマツ <6301> 、NEC <6701> 、JR東日本、ANAホールディングス
2月 1日  任天堂、みずほフィナンシャルグループ、レーザーテック <6920> 、伊藤忠テクノソリューションズ <4739>
  2日  三菱電機 <6503> 、パナソニック <6752> 、三井住友フィナンシャルグループ <8316>
  3日  ソニー、野村ホールディングス <8604>
  4日  三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、伊藤忠商事 <8001>
  5日  日本製鉄 <5401> 、ダイフク <6383> 、三井不動産 <8801>
  8日  大成建設 <1801> 、大林組 <1802> 、住友金属鉱山 <5713> 、ワークマン <7564> [JQ]、ソフトバンクグループ
  9日  五洋建設 <1893> 、明治ホールディングス <2269> 、ジェイ エフ イー ホールディングス <5411>
  10日  トヨタ自動車、国際石油開発帝石 <1605> 、ヤオコー <8279> 、東京海上ホールディングス <8766>
  12日  鹿島建設 <1812> 、DMG森精機 <6141> 、日本郵政 <6178>
  15日  電通グループ <4324> 、リクルートホールディングス <6098>
  16日  ブリヂストン <5108>
(注)決算発表は変更となることがあります。

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