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【特集】ワクチン接種スタートが号砲、「リベンジ消費」関連株を狙い撃て! <株探トップ特集>

新型コロナのワクチン接種が始まった。それに伴い経済正常化への期待が広がっているが、注目されているのがコロナ禍で我慢していた反動で消費意欲が爆発する「リベンジ消費」だ。

―経済正常化に期待感、百貨店、外食、レジャー、ブライダルなどに復活機運―

 新型コロナウイルスのワクチン接種が2月17日にスタートした。今回接種が始まったのは、国内で初めて承認された米ファイザー社のワクチンで、まずは約4万人の医療従事者を対象に、全国の100ヵ所の病院で先行して接種が行われる。

 ワクチン接種がスタートしたことで、経済正常化への期待が膨らんでいる。コロナ禍でこれまで我慢を強いられてきた消費者の購買意欲も一気に高まるとみられ、これに伴い「リベンジ消費」関連への関心が高まっている。一部業界では既にその傾向が顕在化しているが、今後は更にさまざまな業界で動きがみられそうだ。

●ワクチン接種と緊急事態宣言解除に期待

 今後の新型コロナワクチンの接種のスケジュールでは、厚生労働省によると、来月中旬をメドに残る約370万人の医療従事者に接種する体制を確保する方針で、4月からは65歳以上の高齢者約3600万人を対象に接種を開始する。その後は、基礎疾患のある人や高齢者施設などの職員を優先しつつ、順次、接種対象を広げる方針だ。そのため、「一般の人々にまでワクチンが行き渡るのはまだ時間を要し、消費行動に反映されるのは更に先になる」との見方はあるが、ワクチン接種はコロナ対策の切り札ともいわれているだけに、消費マインドに与える影響は大きい。

 また、政府が1月8日から実施している、新型コロナウイルス対策で2回目となる「緊急事態宣言」の効果もあって、新規感染者数が減少傾向にある点にも注目したい。10都府県における緊急事態宣言が予定通り解除されれば、これらの都府県の人口と県民所得は、ともに全国の半分以上を占めていることから、大きな経済効果が期待できる。一部地域では前倒し解除も検討されているが、仮に前倒しで解除されれば「リベンジ消費」に拍車をかけよう。

●一部業界では既に顕在化

 「リベンジ消費」とは、コロナ禍で不要不急の外出が制限され、買い物やグルメ、レジャーなどを我慢してきた人々により、購買意欲が爆発することをいう。昨年の1回目の緊急事態宣言でも、解除後に家電やレジャーなどにリベンジ消費がみられ、一部の業界では、その効果も顕在化している。

 その一つが家電業界だ。家電量販店大手では、ヤマダホールディングス <9831> が昨年10月に21年3月期業績予想の上方修正(このほか今年2月4日に最終利益予想のみを上方修正)を発表したほか、ケーズホールディングス <8282> は今年2月1日に21年3月期業績予想を上方修正した。エディオン<2730.T>も2月2日、第3四半期決算の発表と同時に21年3月期業績予想を上方修正した。特別定額給付金の影響があったほか、テレビやエアコンの買い替え需要が活発化したことが修正の一因という。

 昨年の緊急事態宣言解除後のリベンジ消費は、その後のコロナ禍の第2波、第3波の襲来もあって勢いは持続しなかったが、今後、2回目の緊急事態宣言の解除にワクチン接種による消費マインドの好転が加わり、世の中が外出しやすい雰囲気になれば、買い物やグルメ、レジャーをはじめ幅広い分野で消費が回復することが期待できる。日経平均株価が約30年半ぶりの高値水準にあり、株高による資産効果もこれに拍車をかけそうだ。

●大手百貨店に回復の兆し

 幅広い業種にリベンジ消費が期待できることから、関連銘柄も多岐にわたるが、前述の資産効果を考慮すると、まず注目されるのは百貨店 だ。

 日本百貨店協会が発表する全国百貨店売上高は、20年12月まで15ヵ月連続で前年実績を下回っているが、最も落ち込んだ4月の前年同月比72.8%減から12月には同13.7%減に減収率が縮小。今年1月の各社の売上高ではラグジュアリー商品の落ち込みが限定的になるなど回復の兆しが見え始めている。J.フロント リテイリング <3086> 、三越伊勢丹ホールディングス <3099> 、高島屋 <8233> 、松屋 <8237> 、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> など大手百貨店の動向には要注目だ。

●大きな打撃を受けた外食産業に注目

 コロナ禍で大きな打撃を受けた外食産業では、テレワークの普及で通勤が以前に比べて減少したことから、居酒屋業態などは外出自粛が解除されても厳しい環境が続く可能性があるが、ファミリー層を対象としたレストランチェーンはリベンジ消費で回復へ向かおう。

 日本フードサービス協会が発表する外食産業市場動向調査で、ファミリーレストラン売上高は20年3月以降前年割れが続いている。最も落ち込んだ4月の前年同月比59.1%減から、10月には同8.7%減まで減収率は縮小し、コロナ禍の第3波の襲来とそれに伴う政府・自治体からの営業時間短縮要請や外出自粛要請などで12月は同21.8%減と再び減収率が拡大したが、客足が徐々に復調すれば売り上げも回復が期待できる。すかいらーくホールディングス <3197> をはじめ、サイゼリヤ <7581> 、ゼンショーホールディングス <7550> 、ロイヤルホールディングス <8179> などのほか、くら寿司 <2695> 、スシローグローバルホールディングス <3563> などに注目したい。

●レジャーには根強い人気

 現在、苦境に立たされているレジャー業界は「Go To」効果で10-12月期に一時的に持ち直すなど、根強いニーズがあり、リベンジ消費への期待は大きい。

 オリエンタルランド <4661> の第3四半期累計(20年4-12月)連結決算は、最終損益が287億2800万円の赤字(前年同期709億9200万円の黒字)だった。臨時休業や営業時間短縮の影響が響き赤字を余儀なくされたが、7-9月期から入園者数の上限を引き上げたことに加えて、Go To効果もあり、10-12月期は13億円強の黒字と4四半期ぶりに黒字転換した。1月以降は緊急事態宣言に伴う時短営業や入園制限もあり、再び悪化が見込まれているが、10-12月の回復でコロナ禍にあっても根強いニーズがあることがわかる。サンリオ <8136> など他のレジャー企業をはじめ、国内の人の移動の活発化でJR東日本 <9020> 、JR西日本 <9021> 、JR東海 <9022> などへもリベンジ消費の恩恵があろう。

●ブライダル業界の回復に期待

 このほか昨年、結婚式の延期や中止が相次いだブライダル 産業もリベンジ消費による回復が期待される業界だ。

 全国の式場やホテルなどが加盟する公益社団法人である日本ブライダル文化振興協会によると新型コロナウイルスによる影響について、業界全体で20年1-12月で、約8500億円の損失(前年比40.0%)、約24万組に影響があったと推計。また、今年1月7日からの緊急事態宣言発出後10日間だけで、1-3月に予定していた結婚式売り上げの約30%(約440億円)が日程延期などにより減少したと推計している。打撃が大きかっただけに、エスクリ <2196> 、ツカダ・グローバルホールディング <2418> 、テイクアンドギヴ・ニーズ <4331> などの回復に注目が集まりそうだ。

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