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【特集】年末年始に大相場の夢、際立つ好業績「株価3ケタ銘柄」究極選抜6連弾 <株探トップ特集>

東京市場では株価が1000円未満の銘柄に物色人気が集まっている。ここから投資マネーを誘引する中低位の変身株候補を厳選した。

―プラチナの輝き放つ業績高変化、“4ケタ大変身コース”の株高シナリオ乗る銘柄群は―

 全体相場はひと頃の波乱相場から立ち直り戻りに転じているとはいえ、日経平均株価2万9000円台手前では売り圧力に阻まれ上値の重い展開を強いられている。しかし、個別株の物色ニーズは旺盛であり、特に足もとでは株価が3ケタ台の中低位株に投資マネーが向かっている。「相場のことは相場に聞け」という。ここは、全体の流れに倣って株価が1000円未満に位置する銘柄群から、好業績に裏打ちされた勢いのある銘柄をチョイスしてみたい。

●オミクロン株感染拡大とインフレ懸念の同時進行

 2021年相場が幕を閉じようとしている。昨年2月下旬から3月中旬にかけてコロナショックで暴落した日経平均はその後急速なリバウンドに転じ、今年の春先まで大方の予想を覆し約1年間にわたる強力な上昇トレンドを形成した。その後は調整局面に移行したが、9月に大きく買い直され、日経平均は終値で3万670円まで買われバブル後高値を更新。しかし、そこをターニングポイントに再び調整色を強めている。

 新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の感染拡大が世界的に加速している。デルタ株を押し退ける形で一気に広がり、その感染力の強さは既に証明されているが、毒性についてはまだはっきりと解明されておらず、重症化するケースが少ないというデータもある。ただ、現時点ではまだ予断を許さない状況にあり、経済活動への影響が警戒され株式市場でも買いを手控えさせる材料となっている。

 一方、コモディティ価格上昇による川上インフレが企業のコスト増加につながるとの思惑も上値を押さえる要因だ。これに加えてインフレ警戒が強まるなか、FRBをはじめとする世界の中央銀行による超金融緩和政策は既に終了した状況にあり、過剰流動性が低下することに対する不安感もくすぶっている。

●全体株価は必ずしも相場の実態を反映しない

 年末相場の合言葉にも近いお馴染みのワードとなっているのが“掉尾の一振”。しかし、今年は残念ながら期待できないというムードが強い。ところが、全体相場を冷静に俯瞰すると必ずしもそれは当たっていないことが分かる。日経平均やTOPIXなど主要株価指数の動きは必ずしも相場の実態を表してはいない。今の東京市場は見る角度を変えれば、一般メディアが伝えるイメージとは全く異なった風景が見えてくる。

 日本株の強みは企業の業績が好調であることだ。バリュエーション面で株価水準が明らかに割り負けている銘柄が多く、個別株ベースでみればそれが上昇の原動力となる。ただし、日経平均に連動しやすい主力株を中心とした値がさ株は、好業績であっても最近のリスクオフ相場で利益確定売りの対象となってしまった銘柄が多いことから、株式需給的に上値のシコリが意識され短期間での戻りが見込みにくくなっている。

 そこで全体指数とは連動しにくく、なおかつ相対的に評価不足あるいは調整十分となっている株価3ケタ台の好業績株に資金が集まりやすくなっている。現在、東証1部・2部、新興市場を合わせた全上場企業のうち、株価が3ケタ台にある銘柄は1300あまり。そのうち今期営業利益が2ケタ以上の増益を予想している企業が400ほどある。中には利益倍増を見込んでいるような高変化率の銘柄も少なからず眠っている。いったん火が付けば、その上げ足は極めて強力なものとなるケースも考えられる。

●4ケタ大台へ一気に突っ走った大泉製

 直近でその威力をまざまざと見せつけたのが、大泉製作所 <6618> [東証M]だ。同社の株価は今週明け20日時点の終値が782円。この時点では何の変哲もない中低位株だが、実際は目を見張る水準訂正余地を内包していた。翌21日から急動意し、出来高を大きく膨らませながら連日の上値追いで週末24日には一気に1000円大台を回復した。

 改めて、大泉製にスポットを当てると、同社は車載向けに強みを持つ温度センサーメーカーで電気自動車(EV)関連株としての側面を持つ。注目されるのはトヨタグループのデンソー <6902> を主要顧客に置いていること。デンソーはトヨタ自動車 <7203> のEV戦略のカギを握る企業として市場で注目を集めており、大泉製のEV向け温度センサーの需要開拓にも期待が募る。そして、同社は足もとの業績変化も特筆される。22年3月期業績は期初予想を大幅に増額し、営業利益が前期比75%増の5億5000万円という大幅増益を見込んでいるのだが、それでも保守的とみてもう一段の上振れの可能性をマーケットは読んでいる。800円を下回る株価は、まさに地に埋もれたダイヤモンドだった。

 大泉製の物色人気は今の株価3ケタ銘柄の人気素地を象徴するような事例となったが、これに続く銘柄は今後も数多く輩出される可能性がある。今回のトップ特集ではここから上値が期待できそうな業績変化率の高い好実態株を篩(ふるい)にかけて、年末年始の夢追い相場を彩る厳選6銘柄をエントリーした。

●年末年始は好業績が輝くこの6銘柄に注目

◎キョウデン <6881> [東証2]

 産業機器向けを軸にプリント配線基板を展開するが、車載向けなどでも高水準の需要を取り込んでいる。長野工場を拠点に高速通信規格5G対応の電子基板の開発に積極的に取り組む姿勢をみせる。5G関連投資拡大に伴う旺盛な半導体需要に比例して同社のプリント配線板も高水準の伸びを示し、業績に反映されている。また、次世代分野でも実力をいかんなく発揮、パワー半導体 関連では独自の高速厚銅めっき技術を用いた高放熱基板の開発に成功している点が注目される。22年3月期営業利益は前期比73%増の41億円と急拡大を見込み、続く23年3月期は07年3月期に達成した過去最高利益45億5200万円に肉薄する可能性がある。株価は9月以降上昇トレンド入りが鮮明。ここ1ヵ月ほどは600~700円の往来だが、早晩13週移動平均線を足場に浮上し、年初来高値727円奪回から800円指向が期待できる。

◎佐鳥電機 <7420>

 エレクトロニクス商社でNEC製品などの取り扱い比率が高い。自社オリジナル製品の設計開発及び量産を行っていることもポイント。半導体製造装置用の制御機器などに幅広く対応し、世界的な半導体生産設備の増強の動きが追い風となっている。車載用センサーICなども好調で収益に寄与しており、22年5月期業績予想は期初予想を上方修正、営業利益段階で従来予想の10億円から14億5000万円(前期比61%増)予想に大幅に上乗せしている。4%前後の高配当利回りも魅力で3ケタ台の株価は水準訂正妙味が大きい。出資するベンチャー企業ノベルクリスタルテクノロジーが酸化ガリウムウエハーの開発及び製造販売を手掛けており、パワー半導体関連のキーカンパニーの一角としても注目。株価は上向きの75日移動平均線越えから年初来高値1148円奪回が当面の目標となる。

◎児玉化学工業 <4222> [東証2]

 プラスチック加工製品の大手メーカー。座席やドアなど構造材を中心とした自動車部品や水回りを中心とした住宅設備を手掛けるが、業績は飛躍的な拡大局面にある。自動車はSUV向けが好調で業績に貢献しており、住宅関連ではウィズコロナ下でのリフォーム需要が新たなビジネスチャンスをもたらす形となった。また、自動車軽量化の流れに対応し、世界的なEVシフトは同社にとってフォローウインドとなる。22年3月期は売上高が前期比10%増の151億8000万円予想と2ケタ増収を確保、営業利益は同87%増の9億5000万円と急増する見通し。23年3月期も営業2ケタ増益基調を維持できそうで、時価予想PER5.6倍は割安感が際立つ。株価はここ動意含みとなっているが、依然として値ごろ感があり、年初来高値589円奪回が早晩意識される可能性がある。

◎日東精工 <5957>

 工業用精密ネジの大手メーカーで、自動組立機、ネジ締めロボットといった産業機械や、流体計測システム及び検査・洗浄装置などにも展開している。高いクオリティーを武器に自動車業界をはじめ多種多様な業界向けで高水準の受注を確保している。足もとの業績は自動車向けが好調を極め収益を押し上げている。今後、EVシフトが進むなかネジの形態も変化し、同社の高度な技術はその需要を囲い込んでいくことになる。21年12月期は売上高が前期比25%増の410億円予想と急拡大、増収効果を反映して営業利益は同2.5倍の32億円を見込んでいる。しかし、これでも会社側計画は保守的との見方が強く、営業利益は36億~37億円程度まで一段と増額される余地がある。株価は今月9日に652円の戻り高値をつけた後調整を入れているが、早晩仕切り直し、この戻り高値を通過点に700円台復帰が視野に入る。

◎双信電機 <6938>

 ノイズ除去フィルターやフィルムコンデンサー、積層誘電体フィルターなど電子デバイスを手掛け、5Gの基地局関連の需要を獲得している。また、セラミック基板に導体や抵抗体、絶縁体を印刷し、回路形成した厚膜印刷基板はカーエレクトロニクス分野などで活用され、世界的なEVの普及加速を背景に主要部材として商機が膨らんでいる。「5G」と「EV」2つの成長市場を主戦場とするビジネスモデルが同社の魅力だ。22年3月期業績は売上高が前期比20%増の115億円、営業利益は同13.8倍となる12億円を予想、これは08年3月期以来14期ぶりの水準となる。更に23年3月期はトップライン、利益いずれも2ケタ成長が視野に入る。株価は目先急動意をみせているが、大勢トレンドでは戻りの初動。8月末につけた年初来高値936円を通過点に約4年ぶりの1000円大台復帰を目指す。

◎キューブシステム <2335>

 同社は金融や通信、流通向けで強みを発揮するシステムインテグレーター。官民を問わず国内でデジタルトランスフォーメーション(DX)関連投資が活発化するなか、高利益率の戦略的投資案件を中心に企業のニーズを取り込むことに成功している。業績は会社側想定を上回って好調に推移し、営業利益は21年3月期の23%増益に続き22年3月期も19%増益予想と2ケタ利益成長路線を走る。EC市場の拡大を背景に宅配便事業会社向けシステム構築案件が急増し、大手通信会社向けシステム構築も好調で23年3月期も増収増益トレンドは変わらないとみられる。「AI顔認証タッチレス決済サービス」の特許を取得するなど先端IT分野での布石にも余念がない。株価は4ケタ大台が地相場で、1000円台を割り込んでいる時価は拾い場といえる。信用買い残も軽く動き出せば足は速い。

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