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【特集】4月新法施行で注目度アップ、「廃プラリサイクル」関連株は株高局面へ <株探トップ特集>

プラスチック資源循環促進法が4月に施行される。企業は再生プラスチックの使用や使い捨てプラスチックの削減を迫られることになり、リサイクルのニーズは更に拡大しそうだ。

―迫られるプラスチックごみ削減への対応、重要性高まる再資源化―

 今年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が施行される。これは深刻化する海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題などへの対応を目的としており、各製品に使われているプラスチックの循環を促すためのもの。再生プラスチックの使用や使い捨てプラスチックの削減を企業に迫り、国内の資源循環を大きく変える可能性があることから関連銘柄に注目してみたい。

●広がる紙・木製への切り替え

 プラスチック資源循環促進法は、プラスチック使用製品の設計・製造・提供・販売・排出・回収・ リサイクルの各段階で、3R(Reduce:ごみの発生を減らす、Reuse:使い捨てにせず、繰り返し使う、Recycle:貴重な資源として再利用する)+Renewable(再生可能な資源に置き換える)の原則にのっとり、回避可能なプラスチックの使用は合理化したうえで、必要不可欠な使用については紙やバイオプラスチックなどへの切り替えと、徹底したリサイクルを促進するための法律。具体的には、プラスチックを使う製品についてリサイクルすることを前提にした「環境配慮設計」に関する指針を策定し、製造業者などに対して指針に沿った製品設計を求めるほか、家庭などから排出されるプラスチック製品を市町村が分別収集・再商品化する仕組みを導入し、小売業者や飲食店などには使い捨てのスプーンやストローなどプラスチック製品の提供削減を求めている。

 こうしたなか、ドトール・日レスホールディングス <3087> 傘下のドトールコーヒーは昨年11月、大王製紙 <3880> の紙製エリプラマドラーを採用したと発表。また、すかいらーくホールディングス <3197> は今月から従来のバイオマスストローを紙製ストローに順次切り替え、日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]は2月から一部店舗で木製食器と紙製ストローを導入する計画だ。

 このほか、花王 <4452> とライオン <4912> 、ユニリーバ・ジャパン(東京都目黒区)、P&Gジャパン(神戸市中央区)の4社が共同でボトルリサイクルプロジェクトを推進し、セブン&アイ・ホールディングス <3382> 傘下のセブン-イレブン・ジャパンが北九州市でペットボトル回収事業に乗り出すといった動きなどもみられている。

●再資源化の取り組み活発化

 企業による再資源化に向けた取り組みは一段と活発化しており、日揮ホールディングス <1963> と岩谷産業 <8088> 、豊田通商 <8015> の3社は昨年12月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発/水素製造・利活用ポテンシャル調査」で、「都市部における廃プラスチックガス化リサイクルによる地域低炭素水素モデル構築に向けた調査」を提案し、採択されたことを明らかにした。この調査で採用するプラスチックを分子レベルに分解するガス化ケミカルリサイクルは、マテリアルリサイクル(廃プラスチックの分子構造を保ったまま溶融、成形などの加工を行い、再利用する方式)やモノマー化ケミカルリサイクル(廃プラスチックを単体の分子化合物であるモノマーに分解し、不純物との分離及び精製の後、再度モノマーを重合してプラスチック製品などに活用する方式)の適用が難しいとされる異種素材や不純物が混合したプラスチックでも処理可能である特性を持っており、リサイクル率向上が期待される。

 三井物産 <8031> とヴェオリア・ジャパン(東京都港区)、セブン&アイの合弁会社であるサーキュラーペットは昨年11月、岡山県津山市にPETボトルリサイクル工場を設立することを決めた。工場は低グレードの廃PETボトルを扱うことが可能で、PET樹脂を製造する能力は年間2万5000トンを計画。東洋エンジニアリング <6330> が、この建設プロジェクトを受注した。

 TREホールディングス <9247> は昨年11月、グループのNNYが従来から行っている樹脂選別ラインの高度化・能力を増強するため、今年7月から新ラインを稼働すると発表した。プラスチック資源循環促進法の成立や消費財メーカー、素材メーカーからのプラスチックリサイクルに関するさまざまな要望を受け、回収プラスチックのPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)の純度を上げるとともに、従来の選別能力である年600トンを3倍の年1800トンに増強する計画。更にRPF(主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙や廃プラスチック類を主原料とした固形燃料)などの代替燃料向けの選別も年420トンを見込み、どのスペックに対しても適切な選別ができるように設備投資するという。

 アミタホールディングス <2195> [JQG]は神戸市から「21年度プラスチック資源の地域拠点回収モデル事業運営支援業務」を受託しており、昨年11月から同市長田区のふたば学舎にプラスチック資源に特化した回収ステーションを設置。また、同年7月からはNEC <6701> グループのNECソリューションイノベータなどと北九州市で使用済みプラスチックの資源循環の仕組み化に取り組んでいる。

 リファインバースグループ <7375> [東証M]は昨年11月、産業廃棄物の収集運搬及び中間処理を行う子会社のジーエムエスが養生材リユースを通じた廃プラスチック・二酸化炭素(CO2)削減サービスを開始した。また、子会社のリファインバースは同年7月に、三菱ケミカルホールディングス <4188> 傘下の三菱ケミカルの廃プラスチックをリサイクルするプラスチック油化事業への原料プラスチック供給について基本合意書を締結した。

 これ以外では、昨年7月に「プラスチック資源循環推進プロジェクト」を立ち上げた大倉工業 <4221> 、1日当たり最大300トンの廃プラスチック処理能力を誇る施設を持つサニックス <4651> 、高品質なリサイクルプラスチックを効率的に連続生産できる二軸押出機「TEX」を展開する日本製鋼所 <5631> 、廃プラスチックから再生樹脂ペレットを製造する技術を持つエンビプロ・ホールディングス <5698> 、プラスチックリサイクル事業を手掛けるイボキン <5699> [JQ]、昨年12月にプラスチックリサイクルなどを展開している市川環境ホールディングス(千葉県市川市)に資本参加したクボタ <6326> と中部電力 <9502> などのビジネス機会も広がりそうだ。

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