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【特集】値上げラッシュで生活防衛急務、リユース関連株は節約新手法で浮上 <株探トップ特集>

国内で値上げラッシュが続くなか、節約志向の一環としてリユースへの関心が高まっている。メルカリなどフリマアプリの好調も牽引役となり、今後も市場拡大は続きそうだ。

―コロナ禍にあっても市場は順調に拡大中、サステナビリティーへの関心の高まりも追い風―

 ウクライナ情勢の緊迫化で、エネルギーや資源価格をはじめとする物価上昇圧力が強まっているが、それ以前から日本は値上げラッシュが続いている。中国をはじめとするアジアの経済成長や欧米の景気回復で世界的に食品需要が高まっていることや、新型コロナウイルスの感染拡大による働き手の不足、コンテナ不足による世界物流の混乱などによる原材料価格や物流費の上昇、円安なども影響し、食品や日用品などで値上げが相次いでいる。

 これを受けて、消費者の生活防衛意識も高まっているが、一方で最近では節約手法の進化も指摘されている。ディスカウントショップや100円ショップなどに向かう消費行動以外にも「メルカリ」に代表されるフリマアプリ などを通じた「リユース」が、節約の一環として生活に浸透してきているのだ。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う巣ごもりの長期化で家のなかを整理する機会が増え、使わなくなったモノの処分が進んでいることも市場の活性化につながっている。

●リユース市場は順調に拡大

 リユース市場は、新型コロナウイルスの影響を受ける業界も多いなか、順調に拡大を続ける市場の一つだ。リユース業界の新聞を手掛けるリサイクル通信の「リユース業界の市場規模推計2021(2020年版)」によると、20年のリユース業界の市場規模は前年比2.5%増の2兆4169億円となり、調査対象とした09年以降11年連続での拡大となった。

 同サイトによると、新型コロナウイルス感染症の影響があるなか店舗販売は苦戦したが、フリマアプリなどネット販売のCtoCは前年比14.7%増の1兆583億円と1兆円を突破して大きく伸長し、全体を牽引したという。22年はコロナ禍の影響によりマーケットに停滞感が見られるものの、市場の拡大トレンドは今後も変わらないとみており、市場は3兆円規模になると予測。更に25年は3兆5000億円に拡大すると予測している。

●消費者の環境配慮志向も追い風

 コロナ禍にあっても市場が順調に拡大した背景には、外出自粛やテレワークにより在宅時間が増えたことで、片付けに伴う出品などが増えたことがある。その一方で見逃せないのが消費者心理の変化だ。

 例えばファッション業界では古着といえば長年、文字どおり「お古」のイメージで、購入するのは主に安価な服を探す人かコレクターだった。しかし、近年では若者層を中心に多くの消費者が古着の質を新品と同等かそれ以上と考える人が増えており、中古衣料を買って再販する「ファッションフリッピング」も流行している。

 特にコロナ禍では、消費者は特に必要でない衣類を買い控えるとともに、値段よりも品質を重視するようになり、これも追い風となっている。SDGsに代表されるサステナビリティー(持続可能性)への関心の高まりもあり、再利用という環境配慮の面からもリユース市場の成長は今後も続きそうだ。

●代表格はメルカリ、コメ兵HDなど

 リユース関連の代表格は、前述のように市場を牽引するフリマアプリを手掛けているメルカリ <4385> [東証M]だろう。2月3日に発表した上期(21年7-12月)連結決算は「メルペイ」「メルカリUS」をはじめ新規事業への投資強化で営業損益は17億7400万円の赤字(前年同期13億7000万円の黒字)となったが、主力のメルカリJPの流通総額は4302億円(前年同期比17.0%増)と順調に拡大した。また、「メルカリShops」の本格提供の開始やNFT事業への参入など将来的な成長に対する布石も打たれている。株価はグロース株の調整の一環で売り込まれているだけに、見直し余地も大きい。

 コメ兵ホールディングス <2780> [東証2]は2月9日、22年3月期の連結業績予想を営業利益で21億9000万円から29億5000万円(前期比5.0倍)に上方修正し、期末配当予想を12円から16円(年間配当は前期比12円増の28円)に引き上げた。国内ではコロナ禍で海外旅行などの消費が抑えられている反面、高級ブランドの中古品に個人の関心が高まっており、ECをハブとした小売りや、法人向けオークションなど法人向け販売が堅調に推移している。株価は1月27日安値1298円でダブル底を確認し反発基調にある。

●ゲオHD、シュッピンなどにも注目

 ゲオホールディングス <2681> は映像メディアや書籍、ゲームなどのレンタル、中古、新品販売を複合展開する「GEO」や古着などを扱うリユースショップ「2nd STREET」(セカスト)を全国展開している。2月10日には第3四半期決算の発表と同時に22年3月期連結業績予想について、営業利益を40億円から70億円(前期比62.3%増)へ上方修正した。セカストの好調や高級時計を中心としたラグジュアリー商材のリユース海外卸売りの好調が要因としている。

 シュッピン <3179> は、ECを軸にカメラ、時計など「価値が下がりにくい商材」の買い取り・販売を行っている点が特徴だ。身近で手ごろな趣味として始める人や動画投稿用の機材としてカメラに対する需要が根強いことに加えて、21年3月期から戦略的に商品ラインアップを拡充した効果などで時計の需要も高まっており、1月売上高は前年同月比69.9%増と好調が続く。AIMD(AIによる中古カメラの販売、買取価格の自動アシストシステム)などの貢献もあり、22年3月期業績は営業利益29億6600万円(前期比83.9%増)の見通しだ。

 BuySell Technologies <7685> [東証M]は、着物や貴金属などの高価格品を自宅に訪問して買い取り、買い取った商品を古物市場やオークションで卸販売している。2月14日に発表した22年12月期連結業績予想では、コロナ禍で自宅の不用品を整理するケースが多く、足もとで出張買い取りへのニーズが高まっていることから人材採用を大幅に増やす予定だが、それを吸収して営業利益31億円(前期比33.9%増)を予想。年間配当予想も前期比6円増の20円を予定している。

 このほか、1月既存店売上高が前年同月比15.4%増と5ヵ月連続で前年実績を上回ったハードオフコーポレーション <2674> や、1月の既存店売上高が前年同月比11.7%増と5ヵ月連続で前年実績を上回ったトレジャー・ファクトリー <3093> 、子会社SynaBizが店舗や倉庫で売れ残った商品を再流通させる「NETSEAバルクモール」サービスを開始したオークファン <3674> [東証M]、子会社でブランド品買い取りサービス「ブランディア」を運営するデファクトスタンダードの海外販売が好調なBEENOS <3328> などにも注目したい。

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