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【特集】エネルギー価格高騰、「省エネ」関連株がスポットライト浴びる <株探トップ特集>

ウクライナ侵攻でロシアへの経済制裁が厳しさを増している。原油をはじめエネルギー価格が高騰するなか、省エネ関連株に向かう投資家の視線も熱くなりそうだ。

―ロシア経済制裁長期化で、ニーズ高まる生産現場の消費電力削減―

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻を強めるなか、原油をはじめとするエネルギー価格の高騰が世界経済に影を落としている。ロシアへの制裁は長期化することが予想され、エネルギー価格の上昇が沈静化するには時間を要する可能性が高い。エネルギー供給が不安定になっており、家電製品はもとより、大規模なエネルギーを消費する工場などでの「省エネ」に向けた動きが加速しそうだ。エネルギー危機が叫ばれるなか、設備やソリューションで生産現場に貢献する省エネ関連銘柄の動向を追った。

●岸田首相、省エネ呼びかける

 原油価格が高騰している。バイデン米大統領が8日、ロシア産原油の輸入を全面的に禁止すると発表したことで、米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の4月限が一時1バレル=129.44ドルまで急上昇。翌日には、原油増産を巡る思惑が錯綜し前日比12%安の108.70ドルに急落した。しかし、直近11日のWTI価格は前日比3.31ドル高の109.33ドルと3日ぶりに反発している。昨年の3月は60ドル近辺で推移していたことを考えれば、1年でおおよそ倍化したことになる。

 政府も危機感をあらわにしている。岸田首相は3日の記者会見で、「ロシアのウクライナ侵略という極めて深刻な事態に直面している」とし、「エネルギー価格高騰によるわが国経済への悪影響を少しでも減らすべく、これまで以上の省エネに取り組み、石油やガスの使用を少しでも減らす努力をしてもらうことが大切」と国民に理解と協力を求めた。

●「省エネ大国、実力は今も健在」

 “石油ショック”の再来を危惧する声も上がるなか、株式市場では改めて再生可能エネルギー関連株にスポットライトが当たった。もちろん「創エネ」は重要だが、エネルギー危機においては、まず「省エネ」が真価を発揮する。今後、エアコンをはじめとする身近な省エネ家電へのニーズは更に高まることが予想されるが、加えて大量の電力などを消費する生産現場やオフィスでのエネルギー削減が重要課題になる。

 ある中堅証券のアナリストに意見を聞くと、「現在の原油高騰は投機マネーによる部分もあるが、ウクライナ問題が背景にあるだけに厄介だ。原油価格の上昇は、企業にすればコストが上昇し利益押し下げ要因となるため、漫然とはしていられない。何らかの対策を打つ必要性に迫られるが、当然、それを担う側の企業には商機となる。日本は 脱炭素では遅れたが、省エネ大国としての実力は今も健在だ」と、省エネニーズの拡大を予想する。また、「一方、原油高騰を背景に、早晩石炭火力が見直されることになるのではないかと、個人的には思っている。いずれにしても脱炭素に傾注しすぎた反動によって、これまでとは違うバイアスが経済システムにかかる」と指摘した。

●木村化は省エネでも活躍期待

 木村化工機 <6378> は原発関連の一角として投資家からの注目度も高いが、化学プラントや蒸発・蒸留装置などの省エネ化に向けた技術開発でもニーズを取り込んでいる。昨年5月には、環境共創イニシアチブが公募した「令和3年度先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金 『(A)先進事業』先進設備・システム」に、同社が開発した省エネ型ヒートポンプ式蒸留装置が採択されている。化学品や食品などの製造工程で広く用いられる蒸留装置は、大量のエネルギーを消費するため、これら装置の省エネ化が課題だったが、同社は従来の装置に比べて大幅に省エネ化できる蒸留装置の開発に取り組んできた。同装置については既に2基を受注し、昨年11月には1基が稼働、2基目も今年5月に稼働が予定されている。2月10日には、22年3月期連結業績予想の上方修正を発表。営業利益は従来予想の19億2000万円から27億4000万円(前期比44.2%増)に大幅増額しており、10年3月期以来12期ぶりの過去最高利益更新となる見通しだ。

●テスHD、再生可能エネ+省エネで実績

 テスホールディングス <5074> は再生可能エネ関連の一角として動意含みだが、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の3つの事業領域に注力しており、エネルギー危機とも呼べる状況下でテーマ性を存分に発揮しそうだ。省エネ系設備ではコージェネレーションシステム、LNGサテライトシステム、ユーティリティーの省エネシステムなどで実績を積み上げており、その活躍領域のすそ野は広い。22年6月期第2四半期累計の連結営業利益は前年同期比67.0%増の41億5800万円に拡大しており、通期計画の49億500万円(前期比11.5%増)に対する進捗率は84.8%に達している。同社は昨年4月に東証1部に上場し11月中旬に2890円まで買われた後は大きく調整していたが、今年2月24日に1144円まで売られ最安値をつけた後は戻り足に転じており、きょうは49円高の1382円で取引を終了している。

●グリムス、電力削減コンサルで真価発揮へ

 企業の電力削減コンサルを展開するグリムス <3150> にも目を向けてみたい。1月31日に発表した22年3月期3四半期累計で連結営業利益が24億5600万円となり、通期計画の31億円(前期比87.8%増)に対する進捗率は79.2%に達した。エネルギーコストソリューション事業で、事業者のコスト削減や省エネ化のため、電力基本料金削減コンサルティング、各種省エネ設備の販売を推進し、運用改善・設備改善などを提案。前期から販売を開始した事業用太陽光発電システムIoT機器も好調だった。企業運営において省エネ推進が求められるなか、同社の活躍のステージも広がりを見せることになりそうだ。

●船井総研HD、「工場省エネ対策.com」でニーズ捉える

 経営コンサル大手の船井総研ホールディングス <9757> は、製造工場の省エネ情報を紹介する「工場省エネ対策.com」を運営。同社は、約3000社の環境メーカー・環境技術研究所・大学機関のネットワークを構築。年間500以上の工場現場視察を行い、概念ではなく実現可能ベースの提案を行うことで、省エネ・低炭素化に向けたアドバイザー支援を行っている。急激なエネルギー価格の高騰により、省エネ対策について悩む企業も増加していることが予想されるだけに、ニーズ獲得にも期待がかかる。2月4日に発表した21年12月期の連結営業利益は前の期比27.4%増の63億4900万円になり、続く22年12月期も前期比11.8%増の71億円を見込み、コロナ禍にあっても2期連続で過去最高益を更新する見通しだ。

●東光高岳、高砂熱、アズビルにも注目

 東光高岳 <6617> は東京電力系で送配電機器が主力だが、エネルギーマネジメント(エネマネ)、省エネ制御と連動した中央監視システム、照明・空調の省エネ制御システムなどをはじめ、さまざまなソリューソョンを展開し省エネ分野でも頭角を現している。同社が得意とする電気の計測・伝送・制御や蓄電などの技術を駆使し、ビル、工場、オフィスなどの施設全体の使用電力を最適化することで省エネ化実現を目指す。同社は、1月28日に22年3月期連結業績予想について、営業利益を27億円から33億円(前期比2.4%減)へ、純利益を16億円から20億円(同42.0%増)へ上方修正すると発表。最大の取引先である電力業界においては、国内需要の減少傾向など厳しい事業環境が続くが、再生可能エネを含めた分散型エネルギー関連設備の更なる普及や、電気自動車(EV)向け急速充電器需要が立ち上がりつつある点に注目。

 空調工事大手の高砂熱学工業 <1969> も省エネ分野に注力している。さまざまな省エネサービスを手掛ける同社だが、エネマネ事業では、最適な省エネ運転を実現するデータ収集・分析ツール「GODAクラウド」を活用し多くの実績を積み上げている。顧客施設のエネルギーを“見える化”することで、電力デマンドレスポンス、エネマネ、省エネ設備の導入、チューニングまで一連業務を実施することでライフサイクルコストの最適化を担う。また、アズビル <6845> にも目を配っておきたい。同社は、制御・自動化機器を手掛け、強みとするエネルギー管理で優位性を発揮している。工場・プラント向けサービスでは、保守性・省エネなど顧客からの要望を実現する流量計の提案をはじめ、消費エネルギー最適化に向けたソリューションを提供している。

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