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【特集】円高も怖くない! 爆騰エリアに眠る「低位株」バーゲンハント作戦 <株探トップ特集>

日経平均2万8000円台突破を目前にして、急激な円高が投資マインドを冷やしている。主力銘柄に逆風が意識されるなか、内需系の小型低位株に照準を合わせたい。

―米金融引き締め懸念が後退、副作用のドル安・円高が巻き起こす新たな潮流を捉えよ―

●にわかに巻き起こった“円高ストーム”

 東京株式市場は難しい地合いに直面している。週末29日の日経平均株価は寄り付きこそリスク選好ムードのなか2万8000円大台を回復する場面があったが、その後は軟化し前日比13円安の2万7801円で今週の取引を終えた。

 さかのぼって28日木曜日の米国株市場では、朝方発表された4~6月期実質GDPが2四半期連続のマイナス成長となったことを受け売りが先行したものの、その後はNYダウナスダック総合株価指数ともにプラス圏に切り返した。GDPの結果を受けリセッション懸念が高まる一方、FRBの金融引き締め強化に対する過度な警戒感は後退する格好となり、足もとでは後者の方を好感する形でマーケットは強気優勢に傾いた。

 結局、28日のNYダウは330ドルあまり上昇して引けており、これを受けて翌日の東京市場でも今度こそ2万8000円大台ラインを明確に突き破り、次なる目標であるボックス上限の2万8300円どころを目指す展開が期待された。だが今の東京市場には、米国株の動向以外にもう一つ全体相場の方向性を左右する重要なファクターがあった。

 それは為替市場の動向である。景気後退が現実味を帯びるなかで、FRBの金融引き締め策が修正を迫られるとの思惑が米長期金利の急低下をもたらしており、ドル円相場では急速に円が買い戻されている。この日は1ドル=133円を割り込む水準まで急速に円高が進んだことで、日経平均は値を消す展開を強いられ大引けはマイナス圏で着地した。中期的にみてもドル高トレンドが終了した可能性があり、ドル円のアンワインドの動きが株式市場にとって向かい風となることは避けられない。決算発表が佳境入りとなるなか、円高が気になって主力輸出株への買いは入りにくくなり、日経平均の上値も必然的に重くなりそうだ。

●低位株の一群に出番到来の気配

 しかし、円高が逆風とならない銘柄群というものもある。内需系の中小型株は円高進行がむしろコスト低減効果をもたらすセクターとして、資金の逃避先となる。新型コロナウイルスの感染拡大は警戒せざるを得ないが、外食産業など一部の業界を除けば、影響は既に株価に織り込まれている部分も大きい。そして、こうしたタイミングで有力なターゲットとなるのは株価が低位に位置する銘柄群である。値がさ株は今の環境で下値リスクが意識されやすいが、100円台や200円台の銘柄は、米株市場や為替市場と連動しにくい特性を持つ。

 そして、低位株の魅力は何といってもその変化率の大きさであり、いったん物色人気に火がつけば5割高や倍騰するようなケースも珍しくない。少ない資金で大きなリターンを手にすることが可能だ。例えば株価500円台の中低位株でもスタート地点(地相場)が200円台であれば、既にその時点で株価はダブルバガー(2倍化)を達成している理屈となる。これが値がさ株であればそうはいかない。値がさ株ではなくても株価4ケタ台の銘柄であれば、株価倍増というのはよほどのファンダメンタルズ(業績面)の変化が伴わなければ、そう簡単に実現できるものではない。

●株価変貌の舞台に立ったキャンバスとガーラ

 低位株の威力を見せつけた良い例を最近の銘柄の中から探すと、まず、創薬ベンチャーのキャンバス <4575> [東証G]が挙げられる。多くのバイオベンチャーがそうであるように、同社も研究開発投資先行のため、業績面では長く赤字が続いている。しかし、新薬開発への期待感は株価を変貌させる原動力となることを同社株は如実に表した。株価は6月に入り急動意、初動時は200円未満だったが、その後目を見張る上昇パフォーマンスを演じ、7月19日に株価は1054円の高値をつけることとなった。わずか1ヵ月半で5倍以上という文字通りの大化けを果たしたことになる。その後は調整局面に入っているが、時価は25日移動平均線をサポートラインに800円近辺で再始動の兆しをみせている。

 海外向けパソコン用オンラインゲームのほか、スマートフォン用アプリ開発を手掛けるガーラ <4777> [東証S]も驚くべき変貌を遂げた。株価200円近辺での底値もみ合いが長期間続いていた同社株だが、突然変異的な大相場に突入したのは5月の下旬のこと。韓国子会社が開発したHTML5ゲームの東南アジアでのサービス開始を手掛かり材料に急動意、商い急増のなか株価は大きく居どころを変えた。ブロックチェーンゲームが話題性を喚起していた時期であったことも重なり、6月10日には926円の高値をつけた。これは2015年10月以来約6年8ヵ月ぶりの水準だが、何といっても3週間あまりで株価を4.6倍化させたインパクトは強烈だ。その後は調整を余儀なくされたものの、今月に入り再び動意づき、20日には823円の戻り高値をつけている。

 この2銘柄のパフォーマンスが示すように、低位株は大化け株の宝庫であることは確かである。そして全般波乱の地合いでも雑草のようにたくましく、逆行高を演じられるのが強みだ。今回はそうした条件を満たす銘柄群にスポットライトを当てた。

●上値に思惑膨らむ低位株10選

【日エンター 時価157円】

 日本エンタープライズ <4829> [東証S]は一般消費者を対象にゲームや音楽などスマートフォンを中心としたコンテンツ配信を手掛けるほか、法人向けソリューション事業を展開している。業績も足もと回復色を強めており、23年5月期は営業利益段階で前期比9割増益を見込んでいる。ECシステム構築やチャットボットなどAI・コミュニケーション、クラウド型eラーニングなどビジネス領域が非常に広く、鮮魚ECなど新境地開拓も進めている。昨年4月以降は一貫して下値を切り下げてきたが、大底圏到達でリバウンド妙味を内包。

【パレモ・HD 時価201円】

 パレモ・ホールディングス <2778> [東証S]はレディースアパレルや雑貨の専門店をチェーン展開し、筆頭株主は西松屋チェーン <7545> [東証P]で業務面での連携を模索している。業績はリストラ効果により、収益体質の改善が進んでおり、23年2月期第1四半期は営業損益が1億7200万円の黒字(前年同期実績は2億4600万円の赤字)と回復色が鮮明。今期を初年度とする中期計画を策定しており、25年2月期に営業利益9億円と今期予想比2.6倍の高変化を見込む。月次の売上高増勢のなか、200円近辺の株価は見直し余地大。

【アクサスHD 時価141円】

 アクサスホールディングス <3536> [東証S]はドラッグストア酒類販売、スポーツ用品店などを展開するアクサスが旧雑貨屋ブルドッグを経営統合して設立された。21年8月期は営業2ケタ減益となったものの、22年8月期は好調で前期比21%増の4億5000万円と過去最高利益を更新する見通しにある。年4円配当だが、株価が低位に位置するため配当利回り換算では3%近くに達する。7月13日にマドを開け急伸後調整を入れたが、120円近辺で売り物を吸収し足もと急速に出直る動きをみせている。

【窪田製薬HD 時価267円】

 窪田製薬ホールディングス <4596> [東証G]は眼科医薬の創薬ベンチャーで、網膜色素変性など希少眼疾患治療薬の開発を主力としている。また近視矯正では、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行抑制・治療を目指す独自技術「クボタメガネテクノロジー」が注目されている。今月27日には米子会社のクボタビジョン・インクが、スターガルト病を適応症として開発している治療薬候補、エミクススタト塩酸塩の第3相臨床試験において、データベースロックを完了したことを発表し株価を急動意させた。調整一巡で再動意も視野に。

【ストリームM 時価257円】

 ストリームメディアコーポレーション <4772> [東証G]はスマートフォンやパソコン向けに動画・音楽などのコンテンツ配信を手掛ける。韓国エンタメのトップ企業であるSMエンタテインメント傘下で韓流スターのコンテンツなどを配信する。新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は大きいが、人員の配置転換やデジタル化の推進など事業構造改善で22年12月期は営業赤字からの脱却を図る。直近、日足三角もち合いを上放れてきた。

【ゼット 時価228円】

 ゼット <8135> [東証S]はスポーツ用品卸大手で野球用品でのブランド力は絶大だが、このほか多種多様なスポーツブランドをグローバル展開している。プロ野球大リーグで大活躍する大谷翔平選手だが、同選手の活躍は同社株にとっても大きな刺激材料となる。業績面は新型コロナウイルスの感染拡大や円安に伴うコスト上昇といったネガティブ材料はあるものの、財務良好な有配企業にして0.4倍前後のPBRは割安感が際立つ。株価は上値抵抗ラインとなっている26週移動平均線ブレークから200円台後半への水準訂正が視野。

【北の達人 時価220円】

 北の達人コーポレーション <2930> [東証P]は化粧品 健康食品のネット通販を主力展開しており、小ジワ対策のヒアルロン酸化粧品などがドル箱商品として収益に寄与している。業績面では23年2月期営業利益が前期比半減の10億300万円予想と苦戦しているが、元来強みとしていたニッチ商品に特化した戦略で立て直しを図る構えで第1四半期時点の進捗率から上振れも視野に入る。信用取組が売り買い拮抗するなど株式需給面で妙味がある。

【ATAO 時価267円】

 スタジオアタオ <3550> [東証G]は店舗及びネット経由で自社ブランドのバッグや財布などを販売する。EC比率は売り上げ全体の6割弱を占めている。業績は低迷を余儀なくされているが、23年2月期が底で来期以降は回復の道筋が見える。モール型の新ECサイト「ATAOLAND+」の本格離陸で収益力向上が期待される。株価は7月14日に上ヒゲで324円まで買われた後反落したが、260円近辺を踊り場に再び上値追いの機をうかがう。

【アルテック 時価279円】

 アルテック <9972> [東証S]は印刷・包装など特殊産業機械商社で、中国でペットボトルの容器製造事業なども手掛ける。また、3Dプリンター分野で先駆し、2007年から本格的に国内販売に乗り出している。同業界最大手のストラタシス<SSYS>の製品を取り扱うほか、同社オリジナルの3Dプリンター造形サービス、や3Dプリンターレンタルなども展開している。22年11月期は営業2ケタ減益と低調ながら23年11月期はV字回復の可能性も。25年11月期に営業利益10億円を目指す中期計画を推進中で、株価も見直しへ。

【ネクスウェア 時価208円】

 ネクストウェア <4814> [東証S]はデータベースシステムの受託を手掛けており、顔認証システム分野などに傾注している。また、秘密分散技術を搭載した「インテグリティ・ドローン」を共同開発し既に技術検証を完了した状態にあり、年内に国内外のドローンや航空機、自動運転関連業界への提案を開始する方針にある。業績は低迷しているが、出資・提携戦略などを駆使した先端技術分野への展開力に期待が大きい。株価は短期急騰習性を持つ。

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