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【特集】冨田康夫【市場が恐れる9月リスク】相場観特集_01 /中国関連銘柄は選別投資の視点で

日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 東京株式市場にとって当面のリスク要因は、中国景気減速とそれに連動するかたちでの上海株式市場などでの株価下落懸念だろう。

 中国で現在までに発表されている購買担当者景気指数(PMI)や鉱工業生産、国内総生産(GDP)などといった表面上の統計指標は「微減」程度にとどまっており、それだけから判断すると中国経済は若干の減速傾向ということになる。しかし、中国経済の動向が比較的素直に反映する商品市況の動きを見ると、実態はもう少し厳しいのではとの見方も出ている。

 スマートフォン向け特需鈍化などにより、中国の設備投資動向が不透明だとして16年3月期通期の業績予想を下方修正したファナック<6954>や、中国での建機需要の落ち込みが響いて4~6月期業績が減収減益となったコマツ<6301>の現状は重く受け止めなければならない。また、中国政府当局が株価対策を打ち出せば反発し、緩めれば下落するというパターンが恒常化している点も懸念材料。政府のなりふり構わぬ資金投入は既に5兆元(約100兆円)に達しているとの説もあり、買い支えの神通力にも限界がありそうだ。

 ただ、中国関連とされる日本株への影響を判断する場合、中国人旅行者の“爆買い”で潤う百貨店をはじめとする小売店や、日用品で中国の中間層に食い込む花王<4452>、良品計画<7453>などの健闘ぶりは区別して考えたい。

 なお、米金利の引き上げについては、1994年以降の3回の利上げ局面(1994年、1999年、2004年)を振り返ると、利上げを挟んで10%程度の調整場面があったものの、いずれもその後株価は上昇傾向を示している。また、今回の利上げは既にかなりの期間にわたって織り込みが進んでおり、サプライズによる波乱相場は起こり難いのではないか。

※今後約1時間ごとに、「市場が恐れる9月リスク」について、第一線の市場関係者4人のコメントが連続して配信されます。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【市場が恐れる9月リスク】特集より

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