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【特集】高橋春樹【市場が恐れる9月リスク】相場観特集_02 /米利上げは円安誘引の可能性も

三木証券 執行役員 商品副本部長 高橋春樹氏

 日本株市場にとってリスクとされるのが、中国景気の先行き不安とそれに連動する上海総合指数など株価の下落だ。確かに、上海株相場の急落は、日本株にとってもリスクオフ要因となるため警戒は必要だ。ただ、中国政府は、景気の維持も含めてさまざまな株価対策を矢継ぎ早に打ち出しており、極端な急落は食い止められそうだ。

 米国の利上げについては、その話題自体すでに2年以上前から出ており、かなりの部分は織り込まれてきている。米株式市場での過去5回の金利反転上昇局面を検証すると、いずれも利上げ実施のほぼ1カ月前から株価が上昇に転じているケースが多い。最近のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、なるべく早めに利上げをスタートさせて、その後緩やかなテンポで上昇するシナリオをにじませている。したがって、9月利上げが有力視されている。米金利上昇で当然リスクオフの動きは強まるが、日本にとっては円安を加速させる側面もあり、株価にとってはプラス要因ともなり得る。

 外国為替市場で円安が進行すれば、従来からの自動車、電機など輸出関連業種だけでなく、訪日外国人旅行者の流入を加速するという点から、小売りなどインバウンド関連の内需セクターも継続的に物色されることになりそうだ。もうひとつは、PERやPBR面から判断して割安なバリュー系の銘柄にも注目したい。

 安倍内閣の支持率が低下していることについては、安保関連法案の参院での審議が終了した後には、支持率回復の意味も含めて何らかの経済対策を打ち出す可能性がある。

<プロフィール>

1977年岡山大学法文学部卒業・第一證券入社。1999年第一證券エクイティ部長兼投資運用部長、2005年三菱UFJ証券エクイティ部長、2011年三木証券投資情報部長。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【市場が恐れる9月リスク】特集より

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