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【特集】馬渕治好【市場が恐れる9月リスク】相場観特集_04/夏のお化けは米国から?

ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好氏

 米国株価は、9月にかけて15%程度の調整を想定する。予想PERは18倍弱と近年の上限に近いが、金融相場だからとの理由で容認されていた。連銀の利上げを前倒しで織り込むことで、高PERは正当化できなくなる恐れが高い。米金利上昇思惑は米ドル高要因との声もあるが、米株価の下落が本格化すれば、米株安による米ドル押し下げ効果が強まると懸念する。米ドル円相場は、1ドル=115円近辺まで米ドル安が進む展開がありえよう。

 米株安、米ドル安を跳ね返すには、日本株の投資環境も心もとない。国内経済は、8月17日(月)発表の4~6月の実質国内総生産(GDP)について、前期比マイナスが見込まれている。6月の家計消費支出は、消費増税の影響で落ち込んだ前年同月の水準をさらに下回った。加えて、これまでの大幅な円安にもかかわらず、輸出数量が伸びていない。安倍政権の支持率低下も、海外投資家の不安材料だ。

 ここに中国の景気悪化が上乗せされよう。中国株価が上がろうと下がろうと、中国政府がどのような経済対策を打とうと、中国経済は着実に悪くなっている。日本から中国向けの輸出減少や、中国からの来日観光客減が、株価面で悪材料となり得る。

 中長期的には、国内景気が再度持ち直し基調に転じ、日経平均株価も上昇をみせると予想するものの、足元の材料は極めて分が悪い。個別に好業績の小型株が物色される動きはあろうが、8~9月にかけて、日経平均株価は、残念ながら1万8000円を割れる公算が大きいと見込んでいる。

<プロフィール>

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程終了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演は、株式経済新聞、ストックボイス、日経CNBC、テレビ東京、ラジオ日経など多数。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【市場が恐れる9月リスク】特集より

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