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【特集】北浜流一郎【市場が恐れる9月リスク】相場観特集_05/9月に下げあれば「買い場」の公算大

株式アドバイザー 北浜流一郎氏

 間もなく1年のうちで最も株価が上がりにくい月が来る。その月とは9月。そのため、私は毎年9月のことを「苦月」、こう呼んでいるほどだ。実際、戦後に東京市場が再開されて以降の9月のデータを見ると、上昇29回、下落37回。最も下落回数が多い。

 なぜ、こんなことになるのか?昔は決算発表が年2回であり、9月は市場が中間決算を強く意識し、買いが手控えられたり、中間決算対策売りなどが多かったからだ。近年では四半期決算が主流となり、中間決算はさほど意識されなくなっているのだが、それでも「9月は株が上がりにくい」という過去の記憶が残っていて、それがいまなお心理的負荷になっていると見てよい。

 しかも、今年はそれに二つの懸念材料が加わる。まずは20日から23日にかけて(19日から起算してもよい)の長期休暇だ。長い休みは株式投資をしていなければ好ましい限りだ。しかし、投資しているとやっかいだ。休み中、思いがけないことが起きないとも限らないからで、気持ちが休まることはない。そのため、休み前に積極的に売買するのはどうしても手控えられてしまうし、休みが明けてもすぐに戦闘態勢(?)に入りにくい。

 そして、もう一つ警戒を要するのが、米国の利上げが早ければ9月に実施されることもあり得ることだ。正直、私は10月と見ているのだが、たとえこれがずれ込んで11~12月になったとしても、9月は利上げ観測を巡って内外市場が揺れ動く恐れがある。利上げについては十分織り込んでいる。こう見るのが大勢ながら、市場は思いがけない反応をすることがあるため、やはり9月は警戒月になる。

 なお、「苦月相場」対策として特にお勧めしたいのが、連休前に少なくとも持ち株の半分、できることならすべてを売って憂いをなくしておく。これが有効だ。単純な対応策ながら危機があっても無事でいられるし、それがなかった場合でも新たな観点から新規に銘柄を仕込めるため、年末にかけて成功の確率が非常に高くなる。

 以上のような状況を踏まえ、ここで注目したいのは次のような銘柄になる。まずはオトナパックンチョの販売好調が続く森永<2201>、クラッチ最大手で収益増が続くエクセディ <7278>、新商品のデジタルミキサーがヒット中のヤマハ<7951>、そして警備サービスビジネスの拡大は、今後数年続くと見てよいだけにALSOK<2331>だ。最後にJAL<9201> を。

<プロフィール>

慶応大学商学部中退後、コピーライター、週刊誌記者、作家業を経て株式アドバイザーへ。マネー誌、証券紙などの株式欄を担当し、ラジオ番組でも活躍。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【市場が恐れる9月リスク】特集より

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