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【特集】山田勉氏【気迷い相場の東京市場、日経平均株価の上放れは到来するか】(1) <相場観特集>

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

―企業業績にらみ思惑交錯、2万8000円台半ばで強弱感対立―

 24日の東京株式市場では、日経平均株価が3日続伸したが2万8500円を超えた水準では利益確定売りに押され、上値の重い展開が続く。株式市場は、米国のインフレ懸念が依然として警戒材料としてのしかかっているほか、業績の見方にも思惑が交錯している。果たして、東京市場は警戒要因を跳ねのけ一段の上値追いへ進むことができるのか。2人のベテランマーケットアナリストに今後の展開を聞いた。

●「3万円上限のレンジ相場も強気優勢」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

 東京株式市場は2万8000円台前半で強弱拮抗、頑強な値運びながら上値の重さも指摘されている。しかし、結論から言えばここはボックスレンジの下限に近く、買いで対処して報われる公算が大きいとみている。

 今回の企業の決算発表を通過して分かったことは、主要企業の今期収益水準は完全復調とは言えないまでも、ビフォアーコロナの状況にほぼ近い状態まで回復が見込めるということだ。日経225採用ベースの今期予想PERが14倍弱となっている。これは225銘柄の最終利益の約15%を占めるソフトバンクグループ <9984> の影響が大きいという指摘はあるものの、仮にその分を除外して試算した16倍台後半のPERでも、さほど割高とは言えない。市場が警戒するテーパリングについて、パウエルFRB議長は8月のジャクソンホールあたりで言及する可能性が高いが、それを冷静に受け入れられるだけの業績相場に向けた下地が整いつつあることは認識しておきたい。

 もう一つ気がかりな点は日銀のETF買い入れルールの変更だろう。TOPIXが前場に2%超下がった時のみに買うような下値形成策を市場としても飲み込む必要があり、日銀離れが問われている。

 ワクチンの普及の遅れについては、これが日本株を買えない理由とみるのは本質的に間違っている。それよりも、緊急事態宣言がだらだらと繰り返される政治的な迷走が経済活動に支障をきたすということ、こちらに対する懸念が海外投資家の買いを鈍らせている真の理由と考えている。とはいえ、ここから大きく下値が売り込まれるとは考えにくい。向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジとしては2万8000~3万円のゾーンを想定する。物色対象としては外需中心。東京エレクトロン <8035> など半導体や、村田製作所 <6981> など電子部品、更にトヨタ自動車 <7203> に代表される自動車株に注目。このほか、世界景気に敏感な鉄鋼非鉄などのセクターも継続的にマークしていきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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