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【特集】桂畑誠治氏【日経平均急反騰、サマーラリーの序曲は聞こえるか】(2) <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―大幅調整の後の買い戻し、7~8月相場の見通しは―

 週明け12日の東京株式市場は日経平均が急反発に転じ2万8000円台を大きく回復した。前週は新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感や、ETFの分配金捻出に絡む売り圧力が重荷となり、日経平均は大きく水準を切り下げたが、足もとでは売りが一巡したようだ。果たして、今の上値指向は継続できるのか。経験豊富なベテラン市場関係者2人に今後の相場見通しや物色の方向性について聞いた。

●「相場環境に変化なく流動性相場続く」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 きょうの東京株式市場では、日経平均が600円超の上昇をみせるなど急回復をみせたが、欧米株が大きく反騰した以外は相場環境に大きな変化が出たわけではない。ここ最近の米国では長期金利の動向と株価の値動きについて説明が食い違う傾向もみられる。株式市場における警戒材料としてはFRBによる利上げの前倒し懸念ということになるのだが、これについてはドットチャートで示された2023年中に2度の利上げが行われるという見方は、最近の米10年債利回りの動きによって修正されつつあるようだ。

 ここにきて、新型コロナウイルスの感染拡大が再び目立つ状況にあることは警戒材料ながら、これはワクチンの効果が薄れているということではなく、人々の行動の変容が影響している面が大きい。ワクチンについても接種した人が感染するケースはあっても重症化しにくいことが分かっており、ワクチン効果が否定されているわけではない。新型コロナに対する楽観は禁物だが過度に悲観する必要もなく、時間の経過とともに冷静に状況を把握していくことが大切だ。

 FRBのテーパリングが開始されても、量的緩和のペースが落ちるだけでFRBのバランスシートが拡大を続けることに変わりはない。今の緩和的金融政策のスタンスは当分の間は変えることが難しいとみている。したがって流動性相場は今後も続いていく公算が大きいだろう。

 日経平均はボラティリティが高まっていることもあり、7~8月相場では2万7500~2万9500円のレンジを想定する。物色対象としては、需給逼迫の続く半導体関連株や、世界的に販売需要が好調な自動車セクターなど輸出セクターに着目している。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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