市場ニュース

戻る
 

【特集】【緊急特別版】日経平均暴落、リーマン再来か買い場到来か(1)桂畑誠治氏 <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―泥沼化するウクライナ情勢と株式市場、この先に待つものは―

 週明け7日の東京株式市場は日経平均株価が一時1000円近い急落で2万5000円割れ寸前まで売り込まれるという波乱展開となった。ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、先行き不透明感が募る一方、制裁による西側諸国経済への反動も警戒されている。前週末に続く急落で、日経平均はリーマン・ショックの再来も意識されるような難局に遭遇している。ここからの東京市場や米国株市場の見通しを、第一線で活躍する市場関係者3人に話を聞いた。

●「エネルギー価格高騰で逆風環境続く」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 ウクライナ問題の根は深く、ロシアと西側諸国の決裂を決定的なものとしている。ロシア側はウクライナに対し、ロシアが提示したウクライナの国家主権を侵害する条件をすべて飲むことが停戦の条件としており、これは現実問題として困難といえる。また、仮に停戦が実現したとしてもエネルギー価格の上昇は止まらない可能性がある。

 欧米をはじめ北大西洋条約機構(NATO)の加盟国や日本や韓国など米国の同盟国は、ロシアの要求を受け入れた停戦ではロシアからの原油輸入を禁止する方向にある。これが需給の逼迫度合いを一段と高めるケースとなることも懸念される。

 更にロシア側は経済制裁によって原油の輸出ができなくなれば、天然ガスやレアメタルの輸出を止める“逆制裁”の動きを示す可能性がある。その場合、短期的に欧州のエネルギー需給逼迫は更に深刻化し、また鉱石などの輸出が止まることによって半導体不足などを助長する事態にも陥りがちだ。

 目先的に株式市場は売られ過ぎている印象も強いが、現状は目に映る範囲で相場が反転する材料は不在といってよく、更に今後悪材料が重なってくる可能性すらある。今回のウクライナへのロシアの軍事侵攻は両国の停戦では解決せず、ロシア軍がウクライナ領土から撤退しない限り経済への影響などが継続的に警戒される状況にあり、これらを織り込むには相応の時間がかかるであろう。

 こうした環境下では、日経平均は自律反発を交えながらも下値を切り下げる展開が予想され、2020年の8月から10月下旬にかけてのもみ合い局面である2万3000円台までの深押しも考えられる。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均