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【特集】鈴木英之氏【反騰局面入り東京市場、本格的な戻りはあるか】(1) <相場観特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

―米インフレや中国景気減速などの悪材料をどうこなす?―

 週明け16日の東京株式市場は、日経平均株価が続伸したものの、朝高後に上げ幅を縮小する展開となった。前週、NYダウナスダック総合株価指数などが大幅上昇したことを受け日経平均は足もとリバウンドに転じているが、この流れが中期的に続くのかどうかに投資家の関心が向いている。5月相場も後半に差し掛かっているが、6月に向けて全体相場は反騰色を強めるのかどうか、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「経済安保関連株など注目」

鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)

 市場の注目を集めた3月期企業の決算発表は一巡した。今回の決算では、市場予想に比べ弱めの内容を発表する企業が多数出ることを警戒していたが、懸念したほどではなかった。市場予想を上回る決算は全体のうち2割程度に対して、下回るのは8割ぐらいを想定していたが、実際は1対2程度にとどまった印象だ。

 また、海外動向では、中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)が6月に解除される見通しとなった。米国も4月消費者物価指数(CPI)の結果は予想を上回ったが、ピークに比べれば低下している。今後、住宅価格指数などにピークアウト感が出ればインフレ懸念が落ち着く展開も期待できるだろう。

 そんななか、今後1ヵ月程度の日経平均株価は2万6000~2万8000円を想定する。例年5月は「セル・イン・メイ」という言葉に象徴されるように軟調な相場を警戒することが多い。しかし、今年は全体相場がすでに弱含みで推移するなか、6月にかけては堅調な値動きが期待できるかもしれないとみている。

 更に、11日に経済安全保障推進法が成立したことに注目している。半導体など戦略的物資の供給網強化や基幹インフラの安全確保などがうたわれており、関連銘柄は国策に乗る銘柄として注目できよう。半導体関連では、東京エレクトロン <8035> [東証P]やSCREENホールディングス <7735> [東証P]のほか、信越化学工業 <4063> [東証P]やJSR <4185> [東証P]など。国産クラウドの推進で富士通 <6702> [東証P]とNEC <6701> [東証P]。鉄道など基幹インフラ に絡む日立製作所 <6501> [東証P]、それに航空宇宙関連のIHI <7013> [東証P]などが関連銘柄として挙げられそうだ。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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