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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「材料出尽くし感が漂う時期」

株式評論家 富田隆弥

◆バイデン新大統領の就任式を無事終えた。まずは一安心である。そして、バイデン氏が就任初日に「パリ協定」復帰の大統領令に署名したことで、地球温暖化防止や脱炭素社会に対する関心が一段と高まるのは言うまでもなく、それは株式市場でも同じこと。太陽光風力水素などの再生可能エネルギー関連株はすでに動意づいているが、調整を挟みながら今後も上値追いの展開が続くことになろう。

日経平均株価は1月14日に一時2万8979円を付け、30年5ヵ月ぶりの水準まで高値を伸ばした。テクニカル指標の過熱をあざ笑うかのように、年初から堅調に推移している。ただ、相場の中身をみると、ファーストリテイリング <9983> やソフトバンクグループ <9984> 、東京エレクトロン <8035> 、TDK <6762> などの値がさ株が堅調相場を主導している。

◆これは年金やファンドなどを通じて余剰マネーがマーケットに流れ込み、機械的に値がさ株を買っていることを意味する。過剰流動性が演出する金融相場ではあるが、新年1月入りに伴ってマネーの流入が集中している可能性もある。そうであれば、同じペースでどこまで流入が続くのか懸念が漂う。

◆その一方で「先物動向」では、外国人投資家は1月の第1週(-1752億円)、第2週(-3846億円)と連続で売り越している。国内で先高観測が多く聞かれる中をしっかり利食いに動いているようにも見える。

◆米大統領就任式が終わり、21日の日銀金融政策決定会合とECB理事会も通過した。次は26~27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が焦点になるが、パウエルFRB議長は14日のオンライン討議で従来方針の維持を語っていることからサプライズは期待できそうにない。つまり、日米欧の金融当局のイベントを終えて、株式市場では「出尽くし感」が漂う可能性もある。

◆企業決算(10-12月期)が日米ともに焦点となる。慎重な見通しを立てている企業が多く、その分、上方修正に動くところが少なくない。中国が早期に経済活動を本格化させた影響も大きく、株価にポジティブに作用しよう。

◆ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で日米とも小売売上高は11月、12月と減速しており、それが景気や業績に影響しかねない。これを無視して株価上昇は続くのだろうか。過熱感を帯びながら高値圏に来ている局面だからこそ、ここからは調整リスクが伴うことを頭に入れておきたい。
 
(1月21日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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