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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「調整を挟みながら上値追い」

株式評論家 富田隆弥

◆1月最終週に米国の「ロビンフッダー」と呼ばれるネット個人投資家の集中攻撃でゲームストップ株など小型株が急騰し、空売りしていたヘッジファンドをギブアップさせたことが話題になった。これを受けてネット証券が一部取引を規制したことでゲームストップ株が急落すると、NYダウ平均ナスダック総合指数などの全般市場も調整を強めた。高値圏に来ていた株式市場で金融市場の混乱が嫌気された形と言える。

◆だが、2月になるとNYダウ、ナスダックともすぐに上昇に転じた。1月末の下落をほどよいスピード調整として、4日現在、NYダウは1月21日に付けた最高値(3万1272ドル)にあと220ドルほどと更新をうかがう構えである一方、ナスダックは1万3778ポイントまで上値を伸ばして最高値を更新した。

◆日足チャートをみると、NYダウは一目均衡表の「雲」上限を下値に、ナスダックは25日移動平均を下値に切り返すなど上昇基調を継続。こうした押し目買い意欲の強さはカネ余りに支えられた金融相場が続くことを物語るものであり、NYダウの最高値更新も時間の問題と思われる。

◆この米国株の堅調な推移を追い風に、2月の日本株も順調だ。日経平均株価は2万8600円台を回復し、1月14日の高値2万8979円にあと300円ほどに迫った。一目均衡表の「基準線」(1月29日時点2万7670円)やネックライン(12月29日高値2万7602円)にサポートされて切り返すチャートは上昇基調の継続を示しており、2万9000円から3万円指向の上値追いが期待できよう。

◆とはいえ、「風雨が強まる高値圏」に来ていることも忘れてはならない。新型コロナウイルスの感染者数減少が顕著となり、企業業績の上方修正も相次ぐなど、日米とも好材料が出ている。しかし、先々を読んで動く株価はいずれ訪れる「金融緩和縮小の兆し(テーパリング)」をどこかで意識しはじめるだろう。また、1月下旬に調整を入れて2月に切り返すというチャートは昨年と似ている(昨年は2月下旬からコロナショックに向かった)。高値更新となれば皆が楽観に傾くだろうが、そうなった時にこそ注意が必要になることも想定はしておきたい。

(2月4日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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