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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「4月は3万1000円台指向か」

株式評論家 富田隆弥

◆さて、株式市場は名実ともに4月新年度相場入りした。3月にスピード調整を挟んだので、4月は上昇しやすく、5月大型連休を目がけて上値追いの展開が想定される。日経平均株価の日足チャートは75日移動平均線(1日時点2万8596円)や一目均衡表の「雲」下限(同2万8538円)を下値に上昇基調を維持しており、3月18日のザラ場高値3万485円を抜くと3万1000円台を目指すことになる。

◆個別株は2月から3月にかけてバリュー株物色を強めたが、ここにきて再びグロース株物色の気配が漂う。3月19日の日銀金融政策決定会合や29日の配当取りを終えてバリュー株物色は当面のピークを迎え、逆に2月半ばから調整に入っていたグロース株がそろそろ調整一巡感から切り返すことも想定される。グロース株の代表格でもある半導体関連の東京エレクトロン <8035> とアドバンテスト <6857> は3月中旬から浮上に転じており、ここにきて2月につけた高値を更新してきた。グロース株が浮上するならそれは日経平均には追い風となり、日本株の上昇イメージを強めよう。

◆日本は7月に東京オリンピックを、そして夏にも実施が予想される衆院総選挙を控える。政府としては「株高」を望むところであり、新年度になり年金マネーや機関投資家がその意図を汲むように資金を株式市場に注ぐことが想定される。

◆ただし、懸念要因も燻っている。3月29日に米国の運用会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻が表面化した。追加担保を入れられずにデフォルト(債務不履行)に陥り、資金を預けていた金融機関が損失計上を余儀なくされたものだが、似たような運用会社は他にもあると思うのが自然だろう。この先、世界のどこかで運用失敗による巨額の損失が浮上するリスクがある…、そのことを暗示している一件と言える。

◆日米とも、週足や月足のテクニカル指標では高値警戒が続く。米長期金利は上昇基調にあり、超金融緩和(過剰流動性)が遠からず終わりを告げる(テーパリング)可能性もある。ならば、4月からの上昇相場が当面の仕上げ局面になるかも知れない。ここからはこうした点を頭に入れながら相場に向き合うことになりそうだ。

(4月1日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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