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【市況】【杉村富生の短期相場観測】


「外国人、先物に振り回されない銘柄を狙え!」

●日本は“一人負け”の状態だが…

 相変わらず、日本の株式市場は方向感の乏しい展開が続いている。市場エネルギーは盛り上がりに欠ける。国際的には“一人負け”である。

 マーケットでは引き続いてウクライナ情勢の緊迫化、中国リスクの存在、波乱含みのNY市場などの海外要因に加え、円高圧力、アベノミクス(特に、成長戦略の中味の乏しさ)の失速、日銀の追加金融緩和の遅れ、消費税率引き上げ後の景気落ち込みなど日本固有の悪材料を懸念している。

 しかし、欧米市場、新興国市場は基本的に堅調である。ウクライナ情勢については「戦火が拡大することはない」と株価は判断している。気にしているのは日本の株式市場だけではないか。

 ロシア軍とNATO軍、および米軍が衝突する事態は考えにくい。ウクライナにそれだけの“価値”はないだろう。

●6~7月には株価刺激材料が揃う!

 仮に、それを危惧するのであればドイツDAX指数が暴落、VIX(恐怖)指数が急騰するだろう。しかし、現状はそうなっていない。マーケットは冷静である。

 それに、6~7月には状況次第(景気失速?)では日銀が動くだろうし、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用体制の見直し(株式組み入れ比率を12%→20~30%に)、法人税率の引き下げ(35.64%→25.64%に)方針が明らかになる。

 6月に、ECBは利下げに踏み切る見通しだが、ここが逆にユーロ安・円高の転換点になろう。

 さらに、廃案と伝えられている特定複合観光施設区域整備推進法(いわゆる、IR法→カジノ解禁)は今国会において、成立する可能性が濃厚となっている。

 景気は景気ウォッチャー調査「先行き判断DI」の急改善(3月が34.7ポイント、4月が50.3ポイント)にみられるように、消費税率引き上げの影響を克服しつつある。早晩、デフレ脱却の道筋がみえてくるだろう。

●逆行高の銘柄にマトを絞る作戦を!

 一方、物色面では引き続いて外国人、先物、HFT(ハイ・フリークウェンシー・トレーディング)などの動向に振り回されない銘柄にマトを絞る戦術が有効と判断する。

 具体的には逆行高のリンナイ <5947> 、清水建 <1803> 、帝繊維 <3302> 、中外薬 <4519> 、平和 <6412> など。

 田淵電 <6624> [東証2]、日本管理C <3276> [東証2]、ミクシィ <2121> [東証M]、扶桑化学 <4368> [JQ]は抜群に強い。軟調場面での強い銘柄は基本的に好業績・好需給であり、かつテーマ性を内包している。

 深押し銘柄のリバウンドを狙う作戦では日本マイクロ <6871> [JQ]、ADプラズマ <6668> [東証M]に注目できる。

●テーマ的に注目できるのは?

 テーマ的には抜群のパフォーマンスを誇る配当貴族指数、政府公認のGNT(グローバル・ニッチトップ)企業、グローバル非コモディティ型300インデックス、GPIFのアクティブ運用委託先の外資系10社のポートフォリオなどが話題となろう。

 アメリカではベビー・ブーマ世代がリタイアの時期を迎え、インカムゲインを重視する傾向が高まっている。

 配当貴族指数はS&P500指数に採用されている銘柄のうち、25年以上、連続増配を続けている企業(53社)によって構成されている。そのパフォーマンスは2000年を100とすると、現在385ポイントと、S&P500指数の170ポイントを大幅に上回っている。この傾向は日本にも波及するだろう。

 日本は団塊世代が定年時代を迎えている。当然、配当を意識した動きが強まるだろう。

 ちなみに、日本における連続増配のトップは花王 <4452> の23年である。

2014年5月21日 記

(「チャートブック日足集」No.1521より転載)
(「株探」編集部)

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