【市況】【杉村富生の短期相場観測】
「古来、売り買い休みの三筋道!という」
●短期的な視点と長期的な視点を分けよ!
株式市場は高値波乱の商状となっている。ここ数週間、短期的な視点では「やや警戒」と指摘、「ここは利食いを優先し、現金比率を高めておけ」と主張してきた。現状はほぼ想定通りの展開になりつつある。
改めて述べるまでもない。株式投資では“緩急”をつけることが肝要である。そう、攻めるときは攻め、守るときは守る。
古来、売り買い休みの三筋道!という。
この局面はガンガン、買いまくるところではない。むしろ、様子見の姿勢が求められる。
それに、9月下旬~10月上旬は日米両市場ともに、なぜか波乱含みとなる。今年もまた、「予定のコース」に入っている。
もちろん、長期的な視点では何ら不安はない。日経平均株価は中期的に、金融危機前の高値(2007年7月9日の1万8261円)挑戦の動きとなろう。
●この局面において慎重姿勢なのは…?
“アベクロバブル”相場はいよいよ佳境の3年目を迎えようとしている。平成バブル相場ではTOPIXが1年目に49%、2年目に10%、3年目に37%、4年目に22%上昇した。3~4年目が「おいしい」ところとなる。
ただし、足元は無理をすることはない。“金持ち”(今年1~8月は多くの投資家が儲かったはず)けんかせず!である。チャンスは年末までに必ず訪れる。
ちなみに、筆者が慎重な投資姿勢を打ち出している背景には前述の季節的な要因に加え、(1)円安は目先、ピークアウト、(2)外国人の円売り、株先買いのポジションの修正が近い、(3)消費税率再引き上げに延期論が台頭、(4)メガバンクに新たな自己資本比率規制導入の動き、(5)景気は予想を上回る落ち込み、(6)LINE上場が先送り――などがある。
円安についてはそのデメリットが広範囲に叫ばれ始めた。国民生活にも重大な影響を与えるだろう。外国人(短期筋)は円売りと同時に、株先を買っていたが、このポジションを手仕舞う恐れがある。すなわち、円買い、株先売りである。
消費税率は2015年10月に8%→10%に引き上げられる予定だが、その最終決断は12月末とされている。この局面ではデフレ脱却か、財政再建かの選択を迫られている。実際、政権内部(政務官クラス)では「2017年4月に延期するべきではないか」との声が聞かれる。
●増税強行ならば景気対策が不可欠!
これは選択肢のひとつだろう。仮に、延期となると、円安・株高のシナリオが狂う。一方、強行するのであれば景気対策(5兆円規模の補正予算の編成、所得減税、株高政策など)が不可欠である。
まあ、どうなるか。ここはそれを見極める必要があろう。
さて、投資戦術としては(イ)国策に沿う銘柄を個別に攻める、(ロ)小物、少玉による小すくい戦術――が有効と判断する。
具体的には(イ)では熊谷組 <1861> 、鉄建 <1815> 、イチケン <1847> に妙味があろう。日本電計 <9908> [JQ]も狙える。
(ロ)ではサイバーコム <3852> [JQ]、TOREX <6616> [JQ]、オービス <7827> [JQ]、キャリアL <6070> [東証2]が面白い。強い銘柄にマトを絞る、これがセオリーである。
浜井産 <6131> [東証2]は抜群に強い。9月26日払い込みで第三者割当増資(200万株、価格163円)を実施、富機製 <6134> [名証]が150万株、ファナック <6954> が50万株を引き受けた。富機製が筆頭株主となる。事業継続に疑義の注記がついているが、今回の増資によって、経営不安は払拭されるのではないか。
2014年9月24日 記
(「チャートブック日足集」No.1539より転載)
(「株探」編集部)