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【特集】急成長する「シェアリング市場」 【株経トップ特集】


―所有から共有へ、新ビジネスに参入続々!―

 所有から共有へ――消費における大きな変化が注目されている。企業や個人が所有する遊休資産や既存設備などを不特定多数の人々とインターネットを介して共有する「シェアリングエコノミー」と呼ばれるビジネスがシリコンバレーを起点にグローバル規模で成長しており、国内でも徐々に浸透してきた。

●18年度市場規模は462億円に

 シェアリングエコノミー市場が拡大している背景には、これまでの過剰生産・過剰消費の影響により消費スタイルが変化していることが挙げられる。また、モバイルデバイスやIT技術の発展で、貸したい人がネットなどを介して容易に借り手をみつけることができるようになったことも大きな要因のひとつだ。

 シェアリングエコノミーの先駆けは、米国で2008年に開始されたAirbnb(エアビーアンドビー)の宿泊サービスで、これは余っている部屋を宿泊場所として提供する人と借り手をネットで仲介するビジネス。このほかにも、移動ニーズのある利用者とドライバーを仲介する米Uber(ウーバー)などのベンチャー企業が次々と生まれている。

 欧米に比べて遅れていた国内もAirbnbやUberの進出や、ベンチャーを中心とした国内企業の参入により市場が形成されてきた。

 矢野経済研究所の試算によれば2014年度の国内市場規模は前年度比34.7%増の232億7600万円(サービス提供事業者の売上高ベース)に拡大。18年度には462億円規模に成長すると予測しており、関連企業への関心が高まっている。

●ディーエヌエがカーシェアを開始

 シェアリングエコノミーは一般的に個人間シェアによるネットビジネスを指す場合が多く、ディーエヌエ <2432> が9月9日から開始した個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」もその1つだ。このサービスは、車を使わない間は貸したいオーナーと利用したいドライバーをマッチングするビジネスで、スマホやタブレットを用いて手続きし、決済はすべてクレジットカード経由となる。

 他のシェアビジネスへの進出については「現在のところ未定」(広報部)としているが、駐車場の貸し借りを仲介するakippa(大阪市)に出資している経緯なども踏まえ今後の動向が注目される。

●ガイアックスは長距離ライドサービスを譲受

 ガイアックス <3775> [名証C]は同じく9月9日に、子会社を通じCostyle(東京都渋谷区)から相乗りマッチング型長距離ライドシェアサービス「notteco」事業を譲受。これは長距離を運転するドライバーが、ドライブ情報と空いている座席数をサイトに掲載することで、同じ区間を移動したい希望者が相乗りすることができる。

 マーケットE <3135> [東証M]が同じく9月7日からサービスを開始した総合リユースECの新ブランド「ReRe」もシェアリングエコノミーの一種といえる。このサービスは、一度だけ使ってみたいといったニーズに応える「買取保証」を設けていることが特徴だ。

 楽天 <4755> は3月、ライドシェアサービスを提供する米Lyftに出資した。また、同月には図書館向け電子書籍配信サービスの米OverDriveを買収するなど、シェアリングエコノミービジネスに積極的な姿勢をみせている。

 このほかでは、遊休スペースを仲介するスペースマーケット(東京都新宿区)に出資するサイバー <4751> や、各種シェアビジネスを手掛ける軒先(東京都目黒区)に出資する日本駐車場 <2353> 、家事シェアリングのエニタイムズ(東京都港区)に出資するグリー <3632> なども関連銘柄としてマークしておきたい。

●パーク24や日ダイナミクにも注目

 シェアリングエコノミーは、まだ明確な定義が確立していないためBtoC(企業と個人間の商取引)を含める場合もあり、この分野ではシェアハウスが大都市を中心に多くみられるようになった。

 東急 <9005> は賃貸住宅ブランド「スタイリオ」の1つとして手掛けているほか、ウィルG <6089> は14年10月に参入。桧家HD <1413> [名証2]は今年6月にコミュニケーション型シェアハウスを発売した。

 また、パーク24 <4666> やオリックス <8591> がカーシェアリング事業を展開しているほか、日ダイナミク <4783> [JQ]はコミュニティサイクル(自転車のシェア)事業を手掛けている。

情報提供:日刊株式経済新聞

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