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【特集】外国人、買い転換はいつ !? <株経トップ特集>


―政策発動なら一転見直しも―

 外国人の投資姿勢が変調を来している。年央まで買い越し基調を続けていた外国人は、夏場以降一気に売り越しを強めた。特に、8月の中国ショックを経て売り姿勢が鮮明となっている。原油価格下落でオイルマネーが日本株を売っているとの観測も浮上し、外国人投資家の持ち株比率が高い銘柄への警戒感も強い。このなか、市場には「外国人投資家は日本政府の景気対策を待っている」との見方も浮上している。

●28年ぶりの売り越し

 外国人投資家による日本株売りが市場の関心を集めている。

 東京証券取引所によると、外国人投資家の売買動向は5月まで買い越し基調を続けてきたが、6月以降は売り越し。8月月間は1兆1582億円の売り越し、9月は第4週までに2兆3000億円強を売り越している。直近までの年間累計ベースでは1兆2000億円強の売り越しとなっている。特に9月第2週は、週間で1兆348億円の売り越しと1987年10月以来、約28年ぶりの規模となり話題を集めた。

 8月の中国ショックを機に外国人投資家はリスク資産である株式の現金化を進めるなか、「利益が乗っている日本株は格好の売り対象となっている」(アナリスト)との見方が多い。

 外国人投資家は、年間では2014年に8500億円強、13年は15兆円超を買い越しており、「日本株買いの先導役」を果たしてきただけに市場の警戒感は強い。

●気になるオイルマネーの行方

 直近で話題となったのは、オイルマネーの動向だ。「サウジアラビアの政府系ファンドが数百億ドルにおよぶ資金を世界から引き上げた」との報道が流れると、サウジアラビア通貨庁(SAMA)などが大株主になっているとみられる銘柄への関心が高まった。

 市場では、「SAJAP」や「JUNIPER」などの名義が出ている銘柄は、サウジ系ファンドが大株主にあるとの観測が浮上。具体的には、日電硝 <5214> やマツダ <7261> 、良品計画 <7453> 、ソニーFH <8729> 、ローム <6963> 、島津 <7701> などの銘柄が挙げられている。
 
 また、外国人持ち株比率が高いHOYA <7741> やナブテスコ <6268> 、SMC <6273> 、ファナック <6954> 、三井不 <8801> などの銘柄には、外国人売りが懸念される状況にある。

●リターン・リバーサルに期待
 
 では、外国人が買い姿勢に転換するのはいつか。

 ある株式ストラテジストは「政府が補正予算を策定するなど景気対策に本腰を入れることがきっかけになる」と予想する。もちろん、日銀が追加緩和に踏み切れば、日本株見直しの大きな要因となる。

 特に、「外国人が売り越し基調を強めたのは8月中旬に第1四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)がマイナス成長に入ってから」とみられ、「GDPがマイナス成長の基調にあるうちは外国人の売りが続く」との見方もある。

 こうしたなか、市場には7日の内閣改造に合わせた日銀の追加金融緩和への期待があるほか、今後、3~4兆円規模の補正予算策定期待も出ている。

 外国人による日本株売りには「景気対策への催促の意味もある」との見方も流れている。今後、政策が浮上した場合、外国人の持ち株比率が高い銘柄などに一気にリターン・リバーサルの買いが入る可能性はある。

 ※<株経トップ特集>は、市場が注目するテーマをタイムリーに、火~木曜日の20時、土曜日の10時に配信しています。

情報提供:日刊株式経済新聞

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