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【特集】桂畑誠治【中国危機!日本株の行方】相場観特集_05 /上海総合株価指数は当面2450から3700のレンジで推移

第一生命経済研究所・経済調査部・主任エコノミスト 桂畑 誠治氏

 中国では、成長ペースの鈍化が続くもとで、株価が暴落した。信用取引の拡大などにより、ファンダメンタルズから説明できない6月中旬にかけての急騰の反動によって、下落ペースは速かった。中国政府は、中国人民銀行による政策金利引き下げ、預金準備率の引き下げ、資金供給のほか、公的資金による株式購入、売りを制限するなど様々な株式市場支援策を実施している。

 より不透明感を強める要因となっている景気減速には、国務院が大型プロジェクトを加速させるため、手続きを簡素化させる方針を示した。また、中国財務省が借り換えのための地方債の発行額の上限を3.2兆元(2兆元)に引き上げた。李克強首相が経済の下ぶれリスクに備えて、積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続する方針を改めて示している。

 このような政策が相次いで打ち出されるなかで、上海総合株価指数はPERが13倍程度まで下落したことや断続的な株価支援策などへの期待から、下げたところでは、長期的な投資資金が流入しやすくなっており、下値も限られよう。ただし、追加の金融緩和など新たな政策の発表がなければ、下げ幅を拡大するリスクがある。

 一方で、中国経済の成長率は遅れていた構造改革を進めざるを得ないなかで、基調として鈍化傾向を辿る可能性が高いうえ、不動産市場が底を打った可能性があり、個人の資金はこれから上昇が見込まれる不動産市場に向かいやすくなるとみられることも、株式市場の上値を重くすると予想される。上海総合株価指数は当面2450から3700のレンジで推移すると見込まれる。

<プロフィール>

第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)   【中国危機!日本株の行方】特集より

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