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【特集】大塚竜太氏【新型コロナ感染第2波警戒、下値リスク加速か】 <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―米国株を横目に思惑交錯、774円安の先に見えるものは―

 週明け15日の東京株式市場は日経平均株価が前週後半の波乱相場を引き継ぎ下値模索の展開を続け770円あまりの急落で安値引けとなった。米国では新型コロナウイルスの感染第2波に対する警戒が強まっており、NYダウは前週末に反発したものの戻り足はそれほど強いものではなかった。日経平均もフシ目の2万2000円台を大きく割り込むなど、下値リスクが改めて意識されているが、果たして6月相場後半の展望はどうか。的確な相場予測で定評がある東洋証券ストラテジスト大塚竜太氏に話を聞いた。

●「ハイボラ相場も冷静に対応」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 足もとの東京株式市場は悲観に大きく傾く段階ではないものの、目先波乱を経て上値に対する自信が後退していることは確かで、強弱感対立のなか先物主導で上下に不安定な地合いとなっている。特に米国では新型コロナウイルス感染症の第2波に対する懸念が強まっている。直近、前米食品医薬品局(FDA)長官が「アウトブレークの進行を示唆している」と述べるなど警鐘を鳴らしたこともあって、きょうの米株指数先物の軟調な推移にも反映された。

 ただ、日本国内を見ればステップ3の段階にあった東京都は休業要請を19日に全面解除の見通しにある。今後も用心は必要ながら、相対的に新型コロナウイルス感染症で被害の少ない日本株は下値抵抗力を発揮しやすいということはいえる。

 イベント的には明日までの日程で行われている日銀の金融政策決定会合が注目されやすいが、金融政策の現状維持が見込まれ、事前に織り込まれていることもあって株式市場に与える影響は限定的だろう。今後の展望としては、日経平均は6月後半から7月にかけてボラティリティは高まりそうで、下値は2万円トビ台後半から2万1000円近辺。上値は2万2000円台後半のレンジで不安定な値運びが続きそうだ。下押す場面でも過度な悲観に陥ることなく冷静に押し目買いのタイミングをはかりたい。

 物色対象としてもこれといった資金の流れ込むセクターは特定しにくい。全体相場がリバウンドに転じてもグロース株とバリュー株を交互に物色するような循環物色の地合いが続くだろう。前者では半導体5Gデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の銘柄、後者ではメガバンクなど配当利回りの高い低PBR銘柄などが押し目買い対象として注目されよう。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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