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【特集】窪田朋一郎氏【強気優勢の地合い継続か、2月相場を読む】(2) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

―バイデン新政権で変わる相場の波紋、死角はあるか―

 週明け25日の東京市場ではハイテクセクターや内需株など幅広く買われ、日経平均は反発に転じた。早いもので今週は週央の27日が月内最終商いとなり、実質2月相場へと移行することになる。足もとは強気優勢の地合いが維持されているが、上昇相場は今後も続くのか、それとも何か死角があるのか。ここから3月期末に向けた相場展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「全般地合いの強さ光るが2月は調整も視野」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

 週明けの株式市場は利益確定売りをこなして底堅さを発揮している。なかでも半導体関連株の強さが目立つが、これは世界的な半導体不足が株式市場に反映されたものだ。高集積化が進むなか、付加価値の高い半導体が需給逼迫状態にあり、足もとでは技術力で優位に立つ台湾の半導体メーカーの収益機会を拡大させている。大手自動車メーカーが半導体不足で生産調整を余儀なくされていることは広く報じられたが、これは自動車業界に限ったことではなく、例えばソニー <6758> の「プレイステーション5」なども半導体の確保が厳しく出荷が遅れる状況を強いられるなど、影響が出始めている。

 一部バリュー株のリターンリバーサルの動きに加え、半導体や電子部品を中心とするハイテクセクターも買いを集めていることで株式市場は上値余地の大きさが意識されやすく、これが旺盛な押し目買い意欲に反映されているようだ。市場コンセンサスとして遅かれ早かれ日経平均は3万円大台を目指すとの見方が強まるなか、物色対象として目先は半導体関連の出遅れに注目が集まりやい。その後は旅行や小売りセクターなど景気敏感株にも投資資金が波及する展開が想定される。

 ただ、個人的には2月相場は短期的な調整局面を迎える可能性もあると考えている。バイデン新政権が打ち出す政策については、トリプルブルーで通りやすくなっているとはいえ上院はわずかに民主党が上回る状況に過ぎず、大型追加経済対策など定数100のうち60票以上を確保しないと成立が困難で、ともすれば失望売りを呼ぶこともあり得る。また、順次接種が進んでいる新型コロナワクチンについては効果の高さが確認されているが、南アフリカやブラジルの変異種については効果が弱いという見方も出ており、今後の動向には注意が必要となろう。そうしたネガティブ材料が作用して日経平均が調整局面に入った場合、3月期末までに2万7000円近辺までの下落余地があるとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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