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【特集】笹木和弘氏【企業の決算発表突入でどうなる日米株式市場】(1) <相場観特集>

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

―日経平均株価2万7000円割れで弱気ムード台頭か―

 週明け11日の東京株式市場は日経平均株価が反落し、2万6800円台まで水準を切り下げている。米長期金利の上昇やウクライナ情勢など不安要因を抱えるが、そうしたなか今月下旬から企業の決算発表が本格化することで、マーケットには緊張が走っている。ここからの日米株市場はどう動くのか、米国株市場の動向についてはフィリップ証券の笹木和弘氏、日本株市場の動向については東洋証券の大塚竜太氏にそれぞれ話を聞いた。

●「米国は当面ディフェンシブ株中心の物色も」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 今週から米国市場は決算シーズンに入るが、メインのイベントは5月3~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は、今後複数回の0.5%利上げや大幅なバランスシート縮小を実施する見通しだが、市場には急速な金融引き締めにより米国景気がハードランディングすることを警戒する動きが出ている。

 米国市場では景気敏感株が値を下げる一方で、景気動向に左右されにくいヘルスケアや小売り、保険などディフェンシブ株が堅調な動きとなっている。この動きはFOMCまでは続きそうだ。成長性の高いグロース系のハイテク株も景気動向に左右されにくいものの金利上昇とバランスシート縮小で株価の高PERは維持しにくい状況だ。

 こうしたなか、今後1~2ヵ月程度のNYダウのレンジは、下値は3万500ドルから上値は3万5000ドル前後の変動が大きいボラタイルな値動きを予想する。ナスダック指数も1万1500~1万4000前後を想定している。

 個別銘柄では、新型コロナウイルス関連のファイザー<PFE>やメルク<MRK>に注目している。新型コロナをインフルエンザ並みの扱いにするためには飲み薬の普及がポイントとなるだろう。また、自宅検査キットの新型コロナ以外への普及が期待されるアボット・ラボラトリーズ<ABT>、あるいは糖尿病治療に絡みメドトロニック<MDT>に期待したい。

 ハイテク株では著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>が筆頭株主となったヒューレット・パッカード<HPQ>も低PERで割安感が強い。米半導体関連株のなかでも、インテル<INTC>やマイクロン・テクノロジー<MU>、クアルコム<QCOM>、それに半導体検査装置のKLAコーポレーション<KLAC>などは割安株として注目できるだろう。

 更に、イベント面では5月9日のロシアの「戦勝記念日」に絡み停戦に向けた動きが出てこないか、どうかは関心を持ってみている。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。

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